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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

山場、きたー。

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 視聴率の低迷が囁かれている『平清盛』ではあるが、私の周囲ではうれしいことに、好評価の声を聞いている。でも確かになにか『つかみ』のような物には欠けるかもしれないな・・・とは思っていたのだ。大河のダイナミックさよりは、むしろ心理劇のような面白さにウエイトがあったから。

 そしてついにやってきました、(たぶん)物語の最初の大きな山場になる『保元の乱』が。そしてあっちからもこっちからもやってきましたよ、『つかみ』が。

 さまざまな事情により、王家(貴族)も武家(源平に代表される武士)も、肉親同士が争うことになった保元の乱なので、当然ドラマチックな場面が繰り広げられる。天皇の血を引く者同士、貴族の名門.藤原家の血を引く者同士、源氏の血を分けた親子、平家の血こそ分けてはいないが叔父・甥が、それぞれ敵味方に分かれて戦うのだから、面白くないわけがない。なかでも源氏の家臣、鎌田父子の前回から続く愛情物語には、泣かされる。

 それに決戦前日での、それぞれの陣営で繰り広げられる戦略会議の対比が素敵すぎる! どちらも提案されたのは「夜討ち」。それを、当代きっての切れ者二人が、同じ中国の文献からの引用をするんだけど、結論がまるで逆、というのが鮮やか。崇徳上皇側の藤原頼長が「そんな下衆で卑怯な手が使えるか」、後白河天皇側の信西が「ぐずぐずせずに、いますぐ戦にかかれ」という採決。

 ここ、もう一回観たい!というくらいの名場面だった。

 豪傑、鎮西八郎源為朝(ためとも)の活躍とか、平頼盛の屈辱とか、最愛の家臣、鎌田通清の死に遭い、悲しみのあまり戦の場に飛び込む源為義とか、見せ場の連続。

 なんだけど、政治の場から閉め出された左大臣藤原頼長の転落ぶりとか動揺ぶりとかが、ひときわすばらしい(笑)

 それまでやりたい放題の権力者で、知識も知恵も品格も家柄も金品だってあるけど、性格は底なしに「いやらしい」というキャラクターが、ころがりおちていき、身近にいたひとたちから突き放されるのをみるのは、恐ろしくドラマチックでおもしろい。それに山本くん、うますぎ!

 いくつかの大河で絶妙な使い方で演出を盛り上げる「鸚鵡「おうむ)」も、今回は頼長のペットとして最大の演技力を発揮してくれました! 彼のナルシスティックな自信、地位の落差、悲劇的な人生を象徴してくれる。

 悲しさや切なさだけではない。敵方の門から入場する元・海賊の棟梁、兎丸の「戦、大好き!」な満面の笑みとか、叔父・忠正が清盛を「その、もののけの血を!」というのに呼応して「(『もののけ』ではない、)『もののふ』だ!」と叫ぶ清盛とか、シリアス場面なのに、ちょっとした抜け感が面白い。

 土曜日の再放送でしっかり復習して、次回の敗者、上皇側の悲劇に臨まなくては。未視聴の方は、「お値打ち」な土曜の再放送を観て、受信料の元を取り戻しましょう。