知恩院お土産ワールド
から傘オバケに見送られながら、雨上がりの境内をたらたら行く年季女子トリオは、ほどなく手水舎に遭遇する。映画『ラストサムライ』にも登場したらしいグローバルな手水舎だ。
私が注目したのは水のある部分ではなく、屋根瓦。
あの太秦映画村のお土産物に頻出していた、「畏れ多い」ブランド瓦だ! それも、こんなに大量に。畏れ多くて、この屋根には登れまい。
後ずさって、はは〜〜っ、とひれ伏す(うそ)
次いで雨上がりにたどり着いた先は、お土産物店だ。なんといってもお念仏の浄土宗総本山、知恩院だ。お寺の片隅でちまちまと頒布するような、ケチなことはしない。さすが庶民に爆発的に受け入れられた法然上人のお膝元だ。庶民の心を知り尽くしている。知恩院直営の泰平堂という一軒分の場所で、丸まるお土産ワールドが繰り広げられていたのだ。
入ってまず向かったのは、『聖護院八つ橋』のテナントだ。ここで八つ橋ではなく、大原女屋の銘菓であり知恩院七不思議のひとつをモチーフにした『わすれ傘』を三個購入。有名ブランドのテナントながら、バラ売りをしてくれていたのだ。さすがは庶民の味方である。この庶民の心を知り尽くした慈悲深さに打たれ(?)たのか、日頃はお土産スルーなNさんも『わすれ傘』を購入していた。
上品なこしあん最中です。
たぶん私以上にお土産イノチなれんくみさんは、このフックがあちこちに仕掛けられているらしきお土産ワールドを、悩ましく徘徊していた。
もしも私たちが浄土宗に帰依していたら、経済危機に見舞われていたかもしれない。内容的にもかなりいいセンいっている浄土宗ブランドのお線香や数珠袋やお菓子などが、所狭しと並べられていたのだ。
数珠袋などは、夏に向かうこの季節、ネズミ色の涼しげな麻のものなどは、浄土宗の紋さえなければ、あやうく購入するか迷うところだった。逆に宗派違いのため、ムダに迷妄せず吹っ切れるところはあった。
でなくとも、三門登楼記念に三門手ぬぐいを買おうと思ったくらいだ。ほとんど修学旅行の、楽しくも悩ましいお土産タイムだ。
念仏一筋の教義だから、お守りは売ることができないんだろうなあ・・・と思っていたら、なんと発見! 水晶プレート(お守り)なるものが存在した。法然上人の肖象バージョンと発願文バージョンのふたつで、いまHPを確認したら、法然上人バージョンは売り切れとなっていた。恐るべしカリスマ、法然上人。 御影堂改修の資金の一部にできそうな、『法然展』で販売されていた海洋堂謹製の法然上人フィギュアも、復活させたらどうか。
お寺のお土産物らしく、浄土宗ブランドや知恩院ブランドを駆使したもの、仏具、仏壇小物、経本からDVD、機関紙、絵本やマンガに至るまでの布教グッズのあれこれを眺めて、次のコーナーへと歩を進めたとき、私はアキレス腱を晒してしまったことに、まだ気づいてはいなかった。
京都のお寺さんのよく使う手で、お寺には無関係と思われるような京小物も、さりげなく販売されていたのだが、頻繁に京都に来ている身にはどうということはない。お財布の紐は盤石と思われた。
しかし人間は風に吹かれる葺のように弱いものだ。見慣れていないものには、おもわず反応してしまうのである。だいたい期間限定の特別拝観にいくのだって、「めったに見られないものをみたい」という誘惑以外の何ものでもない。
たまに徘徊する京都駅周辺には永楽屋などの手ぬぐい専門店もあるので、比較的「手ぬぐい免疫」は付いてきたと思っていた。Kちゃんから「もう家には充分すぎるくらい手ぬぐいがあるから」とクギをさされて久しい。
去年もお練り供養を見た即成院で、「那須与一手ぬぐい」を購入し、大河ドラマ『平清盛』に備えた。・・・あ、那須与一が活躍した屋島の戦いは、清盛の死後だったよ!
なのに、買ってしまった。「招き猫の日米諺バージョン二色刷り手ぬぐい」というウルトラC級ひねりワザ手ぬぐいを。でもこればかりは、買わずにはおられなかったのですよ。
でもまあ、Kちゃんに「ええやろ? ええやろ?」と広げて見せたら、かなりの笑顔で「えーなあ♪」と同意と認可をいただけた。あーん、うれしい。さて、どう使おうか。
ベリーキュート♪♪♪
日本では「海老で鯛を釣る」だけど、英語では「海老で鯨を釣る」。スケールの違いにも驚く。
やはりひとめ惚れした「花より団子」が、かわいいっ!