ついに広島風お好み焼きを!
「なにもない」東広島駅にバスが到着し、ほとんどがオープンキャンパスに来た高校生たちとその親たちが、「こだま」を待って狭い構内にひしめく。
構内の結構なスペースをお土産物屋さんが占めている。耳を澄ませば販売員二人(ひとりはベテラン中年女性、ひとりは年若いお兄さん)の会話から、いつになく大忙しの二日間であることを知る。ちなみに昨日もオープンキャンパスは開催されていた(主に団体さん)のだ。
その売り場の女性に、今回の旅で何度となく問いかけた質問を、(ほぼもう期待せずに)した。
「このあたりに美味しいお好み焼き屋さんはありますか?」
そしたら例によって「あいてるかどうかはわからないけど」という前置きのあと、駅を出てまっすぐのところに一軒だけあるという答えが。期待はせずともトライはしようとお礼を言って背を向けると同時に、「あの〜そこ閉まってましたから〜」というのんびりした女子の声がかかる。
のほほんとした(たぶん)高校生の女の子が、すでにトライし玉砕済みだったらしく新たな犠牲者を出さぬ様、忠告してくれたのだ。なんと親切な。
それでも「こだま」では車内販売はないので、なんとしても今のうちに食べておくか、食料調達を済ませなければならない。暑くて絶望の渕に立ってはいるが、駅前を探検することにした。
ホテル東横インは? 自販機しか見当たらず。
あのラーメンの看板付近は? 不動産屋しか見当たらず。
ついに最後の砦、セブンイレブンに突入した。お弁当売り場を仔細に眺めると、なんと!!
「広島風お好み焼き」が1点のみ売れ残っていた!! さすがに背水の陣においては、仁義も誇りも美意識も二の次になるらしく、奇跡のように1個だけ残っていた「広島風お好み焼き」を購入することを、ついにKちゃんは否定しなかった。
それをあたためてもらい、ついでにアイスも購入し、駅前のカーブがついた背もたれの木製のベンチで二人でシェアして食べ、早い晩餐とする。食べ終わってから、つぶやくKちゃん。
「わざわざ広島まで来て、コンビニのお好み焼きか!? ネタやんか!」
私たちの乗る予定の「こだま」がホームに入るのは、1時間後だ。時間は有り余っていたので、駅前の銅像を写真に撮る。
珍しく女性は着衣、男児がヌードというトリオだ。
タイトルは「わ」。和でも輪でもなく、たぶんその両方の「わ」だ。
翻るスカートが美しい。銀色の鳩がいかにも平和都市・広島だ。無意味にヌードな少年が気の毒でもある。
しかしアップになると、夜間はあまりお近づきにはなりたくない、と思う。彼女のおでこの上にあるものは一体・・・?! 鎌首をもたげた蛇の一部にも見えるが・・・いやいやまさか。気のせいだろう。わぁ〜!
新幹線の東広島駅ができたのが昭和63年。つい最近のことであるので、この銅像も21世紀に相応しい、新しい意識のもとで作られたものと思われる。
でも「賀茂台地の朝」とは、いささかローカルすぎないだろうか? たぶん新幹線駅の誘致は、強烈な「郷土愛」の賜物なのだろう。