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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

盛り上がる旅

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 さて、いよいよ広島の旅も終盤だ。

 「家の玄関にたどり着くまでが旅」といわれているが、この辺鄙な新幹線が止まるだけの駅と新幹線車中で、なんと私たちの旅は、まさかの大盛り上がりをみることになる。

 その発端は、この駅前のベンチからだった。

 夕方が近づく青空の下の木陰で、私たちがアイスや念願の「広島風お好み焼き」を分けあって食べる以前から、少し離れた木陰で、お仕事の電話をしている男性がいた。田口浩正似のサラリーマンが、なかなか込み入っているらしい話を携帯でしていた。込み入っているらしいのに、ふつうに笑顔だ。さすが田口浩正といいたい。

 彼を見ず知らずの母娘だったが、「なんか、大変そうやね」と小声でつぶやきあっていた。私たちがアイスを食べ終わってホッとし、お好み焼きを食べ終わって空腹を満たし、退屈しのぎに銅像の写真を撮り終え、時間つぶしにおしゃべりに興じ、そろそろ駅構内へ向かおうか、というときにも、相変わらず談笑しつつ携帯で商談??していた。

 彼、45分は電話してるぞ! 

 東広島駅の改札上には、酒蔵の町らしく杉玉があった。

 小さな駅構内でおみやげを少し買い、トイレに行って、発車10分前だし、そろそろホームにいこうか、と立ち上がった。実は私は彼が気になり、トイレから戻る途中、彼がまだいるかチェックするため、わざわざ確認しにいったのだった。さすがに誰もいず、ひと安心。よかった、商談が成立したかどうかわからないけど、ケリはついたんや。

 ホームの向かいには、ナマコ壁の上に酒樽のディスプレイが。

 アップにするとあんまり「ナマコ壁」らしくない。もうひとヒネリ必要かも。 

 新幹線をホームで待っていた時、実はKちゃんも彼のことが気になっていたようで、「あの人、電話終わったやろか?」と心配してつぶやいた。私が「さっき見に行ったらいやはらへんかったし、電話終わったみたいよ」というと、「あーよかった!」と笑顔に。

 なったとたん、彼女の前を耳に携帯を当てつつ横切っていったのは、当の彼だった!

 なんたる偶然! 

 Kちゃんはあまりのことに爆笑しつつ「タイミングよ〜!!」といって、笑いが止まらない。「電話、全然、終わってへんやんか!」

 しかも新幹線が滑り込んで来たら、違う入口から同じ電車に乗り込むではないか! Kちゃん、笑いっ放しだ。

 座席に座ってからもKちゃんは、「あの人」のことが気になってたまらない。電車が走り出してしばらくは、「あの人」のことで話題は持ち切りだった。

 そんな話の最中に、「あの人」は通路を足早に歩いて、私たちの前を通り過ぎて行った。携帯を握りしめていたので、きっとデッキで電話をするのでは?

 Kちゃんの喜ぶまいことか!! 「こんなオモロイことあるとは〜!」と大喜びだ。「席に帰ってくるのも見届けないと!」と勉強どころではない(笑) 私は帰宅後の家事労働に備え、今のうちに就寝タイムだ。

 私が目覚めたとき、Kちゃんは待ちかねたように「こんなものを作ってみました〜」とお菓子の空箱を差し出した。こんなものだ↓

 

 プリッツの空き箱をリサイクルして作った注意看板??だ。

 それにしても、彼はまだ席にもどっていないという。「こだま」とはいえ、駅も3つは停車済みだ。いかに考えても遅すぎるのでは?

「ちょっと見て来たら? もう降りはったんと違う?」

「うちも見に行こうかとは思っていたんやけど、すでにジロジロみてしまったし、笑いっ放しやったし顔覚えられてるかもしれへんし・・・」と意外に弱腰だ。「大丈夫、それに降りてはったら見張ってる意味ないし」。

 ということで、Kちゃんは意を決してデッキに探索しにいった。弱気発言のわりには楽しそう。

 ほどなくKちゃんは「やられた〜!」と残念そうに戻って来た。どうやらホシに逃げられたようだ(笑)「もう一回見たかった!ほんでもう一回笑いたかった!!」

 新大阪で新快速に乗り換え、ありがたいことに京都の手前で着席できた。運悪く大津で恒例の「びわ湖大花火大会」があったため、混みあう電車は、なんのかんのでどんどん遅れた。車内ではぐれたKちゃんも、混み合う前に座れたようだ。ムダに「張り込み」までしたので(笑)ずいぶんお疲れだったから、よかったよかった。

 30分ほど遅れて帰宅し、なんとか明日のゴハンのセットをして就寝する。

 Kちゃんの旅感想、「ええ気分転換になったわ!」。

 旅の最後にスペクタクルな「張り込み」と偶然が偶然を呼ぶ「お笑い」という盛り上がりを見せ、終わりよければすべてよし、とばかりに旅は終了したのであった。