以前の「紙魚子の小部屋 パート2」はこちらhttp://blog.ap.teacup.com/tanukitei/から、 その前の「紙魚子の小部屋」はこちらhttp://ivory.ap.teacup.com/tanukitei/から。

紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

西瓜売ります。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 近江八幡市の大中は琵琶湖を埋め立てた干拓地で、私が子どもの時から「大中の西瓜」はブランドだった。

 いや、ブランドというより、夏の風物詩といった方が近い。

 軽トラに西瓜を山積みして、私の住んでいた市の端っこの山麓の村までやってきてくれた。まだスーパーマーケットもほとんどなかった頃の西瓜販売車は、安くはなかった大きな重い西瓜をさらに買いやすくした。それを井戸で冷やして食べるのが、40年前の夏だった。

 「大中の西瓜の販売です」とスピーカーで流しながら、ゆっくりと走る西瓜の軽トラを、単なるヤジ馬で追いかけるエキサイトした子どもたち、という風景も大人からみれば夏の風物詩だったかもしれない。

 そんなことを思い出したのは、先週の休日にH氏が「ネットで鮎の美味しい店見つけたし、長浜までいこ。鮎の刺身も食べられるみたいやで、あんた、鮎好きやし」といつものように、突如言い出したからだ。

 私は鮎が大好きだが、唯一同好の家族のTくんがいなくなり、一人分では晩ご飯に鮎というのも面倒で、ほとんどスーパーで買わなくなった。おことばに甘え、即決で連れて行ってもらうことにした。

 湖岸沿いの道に出るまでに大中を通る。大中では倉庫のような直売店があちこちにあり、西瓜はもちろんトマトやトウモロコシなども販売している。

 大中の入口の交差点横の空き地で、H氏は思わぬものを発見した。西瓜の軽トラ販売だ。それも売り歩くのではなく、じっと客を待つタイプのものだ。

 「なんか、さびしそう・・・」と感想をもらすH氏のみたものとは。

 炎天下なので軽トラの横に日除けの簾を立てかけ、屋根にビニールシートをかけ、荷台には巨大な西瓜がゴロゴロと山積みだ。その日陰の中で、地味な中年女性が雑誌を眺めていた。

 売る気、0.00%!?

 一応「西瓜売ってますので、よろしく」的な販促のぼりと、ぶら下げられ、たまさか風に揺れる西瓜模様のビーチボールが、かろうじて控えめに通行人の目を誘うのみだ。

 こんな絶好の被写体を、カメラを探している内に、信号が青に変わってしまい、撮り逃がしてしまった。残念!!

 かわりにスケッチした↓

  

 ところで、わざわざ遠路はるばる長浜まで行った鮎専門店「鮎茶屋かわせ」だが。

 「いらっしゃいませ、ご予約はどのようになっておりますか?」

と、受付の女性に問わる。1時間前くらいに思いついて出かけたから、もちろんアポ無しだ。「少々お待ちください」と奥に入った女性は、「すみません、予約で一杯で申し訳ありませんが」という結末になった。

 駐車場の車はナンバープレートをみると、県外から来ているひとたちが多かったので、嫌な予感はしていたのだ。そのまま、すごすごと家に帰ることにする。こういうところでケンカにもならず、「ずちなし」とあっさり諦めるところが、気分よく生活する秘訣なのかもしれない、とたった今、気づいた。(おそい!)

 

 帰りの大中では、ちゃんとカメラをスタンバイしていたので、なんとか西瓜販売車を記録することができた。

 驚くべきは、あれだけ山積みされていた西瓜が、あれだけ売る気が見えなかったにも関わらず、少なくとも山積み状態ではなくなっていることだった。ちゃんと売れていたのだ。

 そして私もこれを書いている途中に初めて、「あ、帰りに西瓜、買えばよかった!!」と気づいたのだった。(おそすぎる!!)