残念な失態。
長寿寺と常楽寺は、それぞれ東寺、西寺と呼ばれている。白洲正子さんによれば、
松林をへだてて、阿星山の頂が見え、東寺・西寺の名称は、この山に対して名づけられたことがわかる。そのはるか南に信楽が位置するのは、紫香楽の宮の鎮護の意味も兼ねていたと思う。(「近江山河抄」の〈紫香楽の宮〉より)
白洲さんは、この2寺を大層気に入っておられるようで、ことに東寺こと長寿寺は絶賛だ。
この2寺の入口には、道切り、または勧請縄吊り(勧請縄、勧請吊りともいう)というものがあり、興味津々。太い縄に中央に縄を輪っかにしたものが下がり、その両側に藁束が、その隣には榊が逆さに吊るされていた。綱は道の両側に立てられた電信柱様の木に渡されている。なんだか鳥居のご先祖さまみたいだ。
じゃあこれは、なんのためのものなのか? 調べてみました↓
【勧請(かんじょう)縄吊】
勧請縄吊は、村の入口などに道を横切って吊され、悪霊、厄神の侵入を防ぎ、さらに秋の豊作を祈る意味合いも込められ、村落繁栄を祈願したもの。
この縄を車でくぐり、ほぼ当てずっぽうで細い道を山の方へと上がって行く。 運よく長寿寺の駐車場までたどり着き、ひと安心。実はガソリンが残りわずかだったので、ハラハラだったのだ。いや、帰りもどこかで給油しないと危ないのだが。
いいお天気に山の気がひんやりとし、絶好のお寺巡り日和に、なんとも魅力的で鄙びた山門に感動し、「写真、写真♡」とカバンをさぐってカメラを取り出し、オンにして構えるも。
液晶が黒いままだ。ということは・・・ほどなくカメラ自身が字を浮かび上がらせて教えてくれた。
「電池切れです(音声なら、さだめし「デンチ ギレ デス」と電子音でいいそうだ)」
なんということ!!
これほど素敵な山門が、後に邂逅するいかにも朝鮮半島デザインの石造多宝塔が、古式ゆかしい国宝の、桧皮葺屋根の堂々たる本堂が、お寺を守る住職や奥様のホスピタリティ溢れる参道沿いの看板や憩いのスペースが、画像で紹介できないとは!!
残念だ!
たしかに長寿寺では、素晴らしい存在感を放つモノたちや仏さまたち(こちらは撮影不可だが)がいらっしゃり、画像がないのは残念至極だが、しかし、たぶんここでのベストは、個人的にはお寺のガイドをしてくださった住職の奥様なのだった。
次回にはその話を。