高月会場のホトケさま その2
いきなり、私が「おっさん仏」または「まいど仏」と勝手に命名した薬師如来さまのお出迎えを受ける。はいったとたんに「まいど!」とは。高月の学芸員さん、できる!
「寝起きの香取慎吾くんみたいな仏像」とか、
「怪しげ、かつ、うさんくさい感満載な仏像」(普通は別仕立ての金具で作る装飾品なども、なんと金の絵具で胸に描かれているのだ!)
などの個性的な面々に挟まれた「清水式」千手観音様は、華奢な素敵仏だった。
ちなみに「清水式」とは両手で頭上にちいさな仏さまを掲げるお姿から。清水寺の秘仏である千手観音様が、このようなお姿であるらしい。
ザ・ピーナッツのような日光菩薩と月光菩薩も、静寂に包まれた仏像だ。れんくみさん曰く、「『まちがい探し』みたい」。なるほど〜↓
個性的な面々に囲まれていると、だんだん自信をなくしてしまったかのような仏像もいらっしゃる。「わしら、こんなフツーでええんやろか・・・」という表情が、逆にここでは個性的だったりして。
まーそりゃ、歌舞伎の見栄をきるような毘沙門天さまたちや
この上ないおとぼけぶりの、しかも腹に一物なホホエミの薬師如来さまとか
もはや意味不明な地蔵菩薩さまたちと
一堂に会してしまったら、自信がなくなっても仕方ないのかもしれない。
そしてやはり千手千足観音様に至っては、そんな中でさえも別格で、ひとり用のガラスケースに入って、比類なき異形ぶりを発揮されていた。
ほんま、なんともいえないお姿だ。
それでも2F展示室は、不思議なハーモニーを奏でていた。ちゃんと調和が取れているので、見応えありあり。
これほどの面々を集めた高月の学芸員のみなさまに、感謝感激。さすがは観音の里で百戦錬磨の仏教美術展示をされて来たであろう皆様だ。たぶん少数精鋭でしょうが、仏像愛に溢れた展示でございました。