数寄で描く戦国
腰を落ち着けて2時間で、『へうげもの』第15巻を読了。
今回の主役?は、ほぼ石田三成。石田自身は気づいてないだろうけど、意外にも彼はほとんど古田の直系愛弟子だ。誰よりも真面目だからこそ、完膚なきまでに叩きのめされたからこそ、たどり着けた対極の境地なのかも。感動。
織田信長の時代より始まり、いま関ヶ原の戦いが終了したところ。その間、15冊。戦いと、政(まつりごと)と志、なにより数寄を中心として戦国時代を描いているなんて。茶の湯が名だたる武将たちに大流行りで、でも「数寄なんぞ」という武将だっているのだ。
頭から湯気をたてて「名物」と心中するヤツ、「名物」のために血眼命懸けでイクサに臨むヤツ、心静かに数寄に邁進するヤツと、武将たちも百花繚乱だった。
茶の湯の道具たちに踊らされ、人生哲学やアイデンティティーを、数寄の中に見つけて行く戦国時代の武将たちの熱さが凄まじくも素晴らしい。武将ではないけど、もちろん千利休も凄かった。
数寄嫌い派の徳川の世になったとき、数寄者武将たちは如何に考え行動したか・・・というところの描き方も、なるほどこういう歴史的見方があったのか!と、作者の視点に感嘆。
ところでもしも「へうげもの」が実写化されるとしたら、古田織部役は大河ドラマ『平清盛』でへうげ公卿(!?)、藤原経宗役をされている達者な顔芸の持ち主、有薗芳記さんにぜひお願いしたいものだと願っている。きっとマンガに忠実な顔芸を披露できる、唯一無二の方だと思うので。