『茨木のり子の家』
『茨木のり子の家』という本があることをネットサーフィン中に知った。なんとも素敵な「おうち」らしいので、図書館に借りに行った。なかみはこんな感じ↓
内容紹介(平凡社HPより)
詩人自身が設計し、生前のまま残る自邸のインテリアや庭、蔵書、食器、自筆原稿、日記などをカラーで撮影。貴重なスナップ写真や初公開資料も掲載。茨木のり子ファン、必見!
内容(「BOOK」データベースより)
倚りかからずの椅子、「Y」の箱の自筆原稿、食卓と黒電話、四季の庭の眺め…ピロティから居間・書斎まで、50年の時を刻む詩人の家を撮影。
シンプルでモダンで、だけどどこか懐かしくほっとする部屋、家具、しつらい。色のある白い漆喰が、深く濃いマホガニー色の木とハーモニーを奏でる。シフォンのカーテンは襞が几帳面に折り畳まれ、ふんわりした甘さを追放し、今は亡き住人の清潔感をも思わせる。
シンプルで無駄に物を増やさない慎重さはあるのに、藤で編んだ灯りの傘(カバー?)がつけてあって、選び抜かれたおしゃれな物たちも随所に見られる。
洗練されたおしゃれにありがちな神経質かつクールな部分は全くない。逆にとても居心地良さそうで、お客に行ったら長居せずにはいられないような、ぬくもりのあるお家なのだ。
丁寧な暮らしぶりや、物を大切に使用されている感に詩人の暮らしを追体験しそう。うっとりとためいきをつかずにはいられません!
とはいえ、まだ読み(見)始めたばかり。パラパラと見終わるのが惜しいような、じっくり本だ。茨木のり子さんの詩も所々に挟まれて、彼女の声が聞こえて来そうな気もする。
クラクラするような素敵なお家は、デンマークの作家イサク・ディーネセン(本名カレン・ブリクセン)以来かもしれない。(’90年代前半の『BISES』という園芸を中心とした暮らし雑誌に数頁掲載されていた。BNを図書館で借りたので詳細は不明。特集じゃないので検索しても発見できず。)ということは、15年以上ぶりに、心から賛同するお家を紙の上で見たということか。(幸福なことに、実際に入ってみた物での手放し賛同はいくつかある。大山崎山荘とかヴォーリズ建築とか)
それにしても故・茨木のり子さんは、「すぐに古びるがらくたは我が山門に入るを許さず」と自身の詩の中でうたっておられるそうだ。なんとストイックな!
我家はがらくただらけだから、身が縮む思いがする。でもがらくたも、私は好きなんだよね〜。