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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

想定外!!

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 駅前まで戻り、美味しそうなメニューの数々が貼り出された入口を開ける。つもりだったが、あれ? 開けられない??

 時計を見ても、まだ1時には数分ある。おかしいな、と扉を離れてガラス窓を覗くと、済まなそうな顔をしたおかみさんが、片手拝みをされていた。

 ええっ!? もうお昼の営業は終了??

 飢えを感じつつも(そのわりに写真撮りまくりだけど)、やっとたどり着いた食堂なのに。さあ、どうする? 先だっての中途半端に高い店に行く?

 実は駅前食堂に立ち寄る途中に、いかにも高級そうな和風の石畳のアプローチに茶花が品よく咲いているお寿司主体の料亭らしきところも覗いてみたのだが、あまりに場違いなので、そしてあまりに高価そうなので退散したのだ。

 そのあまりに場違いな店『すし慶』に「いってみよか」ということになった。背に腹は替えられないというところだ。いや「お腹と背中がくっつきそう」というところか。

 たまたまいつもよりは持ち合わせがあった(生活費だが)、という心強さも味方した。

 打ち水をした石畳の、ホトトギスやミズヒキがそっと植えられたアプローチをふたたび歩き、店内に入る。幸いなことに、ここは営業中だった。あのKちゃんとの広島の悪夢が再開されることはなかった。

 待合室は、かつて銀行だった蔵の中だ。しかし新しく改築されており、白壁と木材が明るく調和している。蔵の中という暗さや、乱歩的おどろおどろしさはない。

 由緒ある塗りや蒔絵のお椀とか、歴史ある屏風絵とかが飾られる応接間で、どうやらメニューを選びお食事が出来上がってセッティングされるまで待つ場所らしい。

 待っている間、さんざん陳列されたお宝を見たあげく、二階にも遠征する、落ち着きの無い冒険好きな夫婦だった。いいトシをしてもまるで子どもである。

 私は駅弁大会で食べたことがあり、かつての朝ドラ『ちりとてちん』に思いを馳せつつ「焼きサバの押し寿司」(ハーフサイズ)に決定。H氏は鯖棒寿司を1本注文した。

 鯖の棒寿司、たしかに美味しいけど!

「それ、ムリちがう? 多過ぎる!」

と、ハーフサイズにするよう反旗を翻す私に

「あんたがいるから大丈夫や」と、そのまま押し通すH氏だった。

 仲居さん?がお食事の準備が整いましたので、と呼びに来てくださり、和風のお庭をみつつ畳敷きのテーブル席につく。あまりの豪華さにドキドキする。

 幅広の昆布のおおきいこと! お寿司に飾られた柿の葉が、あまりに効果的に美味しさを倍増させること! さすがは料亭だ。

 この後しばらく私もお料理に柿の葉を乗せるという業を、飽きるまでやることになる。

 感激するほど美味しかったし、ゴージャスなお昼ゴハンだった。お寿司はもちろんだが、お吸い物の美味しさたるや、うっとりだった。お値段的にも大阪で(場所柄格安とはいえ)お寿司を食べるのと、さほど変わらなかった。でもやはり私たちには上品すぎて、場違い感は否めない。25年分の結婚記念日をしたと思うことにした。

 すっかり豪遊気分に拍車がかかり、「すし慶」を出た後、近くの「山路酒造」にも立ち寄る。桑酒(というものがある。桑の葉の甘口リキュール)で有名な店らしい。

 ここで対応してくださったのは上品なお婆さんだが、彼女の口から「ベースになっているのは」という言葉がでたので、ふたりとも驚愕した。「あのお年で『ベース』という言葉がでるなんて!」とお店を出てから、盛り上がってしまった。現在彼が凝っている生酒と桑酒を購入する。

 一升瓶を入れた細長いビニール袋を両手に一個ずつぶら下げるH氏の後ろ姿は、なかなかに爆笑ものだった。酒飲みの正体、暴露!

 あ、書き忘れたけど、お昼ゴハンはもちろん完食です。私のヘルプによるところが大、らしい。