ソング・アプローチ
一定間隔に楽しみがあると、大袈裟なようだけどリズミカルな「生きる」実感がわいてくる。若い頃は月刊誌(マンガ含む)がその任を受け持っていた。いまはもっぱらテレビとラジオだな。
朝ドラがやたら面白い時や、週一のドラマにハマったり、大河に夢中だったりすると、日頃からウキウキしてしまう。ラジオだっていくつか楽しみにしている番組があるので、そのためになるべくお出かけを控えたりしているくらいだ。車移動は別。車ならラジオが聴き放題だ。電波が届かない場所に来るとパニックだけど(笑)
4月の番組改変では、新しい楽しみがいくつか増えた。
ところで、GWには特番が入ってしまうので、実のところガッカリしていたのだ。その落胆が予想以上に大きかったのが、日曜の夕方6時からのNHK-FMの「ソング・アプローチ」だ。
番組の内容はこんな感じだ(番組HPより)↓
Jポップ、ロックで歌われる歌詞に改めてこだわる番組です。作詞家であり、ザ・コレクターズのボーカル加藤ひさしが、テーマごとに選んだ歌詞をラジオらしく朗読で味わいながら、意外に聞き漏らしていた言葉を拾います。
日曜夕方のくつろいだ時間に、のんびりと聞いてほしい新機軸のFM音楽番組です。
のんびりですって!?
とんでもない。晩ご飯作りながら聴いてるんだけど、笑ったり感心したり、聞き漏らすまいと耳に意識を集中してしまい、はかどらないことといったら! 歌詞に重点を置いているというと、文学的な香りがするけど、いやいや、いかに深く歌詞につっこめるかという部分が大切なのです。みうらじゅん師が仏像や祭につっこむみたいにね。
塾長の加藤ひさしさんのツッコミは、なかなかのナックルボールで、んんん??と思うことも有るけど、ときに素晴らしく冴え渡るときも。それをウケる近藤サトさんがまた、的確でクリアなボケを披露してくださる。
個人的には、竹内まりやさんの「シングル・アゲイン」評のやり取りが素晴らしかった。バブルの頃にハヤリ、みんながカラオケで歌っていたという「シングル・アゲイン」。そこには、実は男性には計り知ることのできない、女の恐ろしさが渦巻いていた、という結論に、竹内まりやは一筋縄どころか、三筋縄でも足りない女なのだと思い知った。とくに最後の一行に。
この回を聴いた男性は、「女はこわい」と背筋を凍らせたことだろう。
しかしこの番組の聴き所は、ツッコミだけではない。いや、むしろ私が一番楽しみにしている部分は、「歌詞の朗読」。
朗々と響く明朗な滑舌の「あおい洋一郎」さんが、中条きよしさんの「嘘」を朗読するー。思い出すだけで、笑えて来ますよ。真面目極まりなく、しかもいい声で
「折れたタバコの吸い殻で あなたの嘘がわかるのよ・・・」。
この歌を子どもの頃に聞いた加藤ひさしさんは、「たかがタバコの折れ方で嘘がわかるなんて(大汗)!! タバコ消す時には、絶対折らんとこ!」と心に誓ったらしい。
このときの近藤サトさんのトリビアル話題も、傾聴に値するものだった。
「オトコの嘘はオンナには絶対わかるけど、オンナの嘘はオトコにはバレないです」へえ〜!
「だから興信所の浮気調査は、男性は安いけど、女性は男性の何倍もします。男性は「バレないだろう」とタカくくってすぐ足が出るけど、女性は証拠を残さないように、ものすごく慎重に行動しますからね」へえええ〜!
歌詞を真面目朗読すると、なんでこんなに面白いのか。なんでかわからないけど、むやみやたらに笑えてくるんだから。「あおい洋一郎」さんの朗読、もうクセになります!