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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

スキップ

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「スキップ」は北村薫さんの長編小説だ。来週の読書会の課題本で、これを渡された時には、心の中で正直小躍りした。すでに10年以上前に読んでいたのだが、大好きな小説なのだ。

 お昼寝から目覚めると、17歳から四半世紀の時をスキップして、42歳のベテラン教師になっていた真理子。しかもとうに結婚し、同い年の高2の娘までいるのだ。混乱と絶望と悲しみのなか、好奇心と自尊心、それに豊かな茶目っ気を持って、少しずつ「この世界」へチャレンジしていく。彼女は家族の援助を受けつつ、「からだは42歳、こころは17歳」として、25年先の「未来の自分」を生きることを決意する。せつない、でもカッコイイ。

 主人公の真理子さんは、実にカッコいい。失った自分の25年分の時間を悲しみながらも、現実を見据えてまっすぐに歩く。ひどい状況にも関わらずユーモアを忘れない。心でお茶目なツッコミをして、青空のように爽やかだ。それは彼女自身は無自覚だろうけれど、どこかに階段の踊り場のような余裕を持っているからだろう。

 そして彼女をとりまく人たちも、ラッキーなことに気持ちのいい人がほとんどだから、気分よく読みすすめられる。

 北村薫さんは、もともと国語の教師だそうで、真理子先生の素晴らしい授業は、北村先生譲りなのだろう。彼の授業を受けた生徒(「ラーメンズ」の片桐仁、「演劇集団キャラメルボックス」の西川浩幸がいるらしい)たちがうらやましー!

 文庫で500ページ以上もある長編なので、読み切れるかどうかが多少不安だったけど、読みかけたらぐんぐんページを繰って行ける。楽しく面白く、しかも元気になれる極上の小説。