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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

海辺のカフカ その1

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 『海辺のカフカ』について、読書会が終わってから思いついたことがあったので、メモ替わりに記しておきます。

 『海辺のカフカ』を読んでない人にはなんのことやらで、ごめんなさい。ネタバレあります。青字についての私の妄想を、知りたい人だけよんでください。

 「入口の石」から「森」に入った人たちについて。

 まず佐伯さん。カフカは図書館の中の「自分の生活空間」となった部屋で眠っていたとき、「少女の幽霊」を見る。それは15歳の佐伯さんで、なぜ今50歳の佐伯さんが15歳の少女の幽霊となって、昔の恋人の部屋にいるのか。

 頭もよく性格も穏やかでエリートな家庭に育った、いわゆる全てがそろった少年のナカタさんが、なぜ昏睡から覚めた後、白紙になって字を読むことができなくなってしまったのか。

 そして両者はなぜ影が半分しかないのか。

 「森」で取引をしたのではないか。佐伯さんは15歳で時間をとめることを望み、ナカタ少年はつらい過去の記憶の消去と字を読めなくなること(両親の重すぎる「期待」がなくなることか?)を望んで、望みを叶える替わりに影の半分を渡したのではないか。

 星野青年が「入口の石」が開いたとき、激しい落雷があった。もしかすると「入口」が開いたときの「雷に打たれた」ことがあるというカフカの父、田村浩一もまた、「森」に迷い込んだかもしれない。彼の望みは、一流の彫刻家となって名を成すことだったかもしれない。その代償として「救いのない、終わりの無い、想像力を欠いた狭量/不寛容」を含み、ルドルフ・アイヒマンからつながる邪悪な「寄生虫」の宿主=ジョニー・ウォーカーになってしまったのかもしれない。