木地師資料館
「木地屋民芸品展示資料館」、一般に「木地師資料館」と呼ばれる展示館に入ってみる。
昭和56年に開館した。古い文書がずらりと展示ケースに並べられている。「氏子駈帳」「往来手形」「免許状」などの木地師文書。なにしろ全国の木地師の総元締なので、木地師にまつわる文書が保存されているのだろう。
部屋の突き当たりにはずらりと「こけし」が並んでいた。こけしといえば東北だ。遠く東北より、さまざまなタイプのこけしが寄贈もしくは奉納されたらしい。こけし作りも轆轤(ろくろ)を使って木を成形するから、やはり木地師なのだ。
ノミで彫られた能面なども陳列されていた。繊細でなめらか。でもウチにあったらちょっと怖いかも。
軸にヒモを巻き付けた手挽き轆轤(ろくろ)も、実際触れる場所に置いてある。あんな簡単な装置で昭和40年代まで木を加工していたなんて。私が小学生だった時代だもんな。
外に出て石段を降りたら、そこはまるで信州の田舎のよう。山水が流れ山が迫り、素朴な石垣の横に舗装された小径。
そこから再びバスに乗り込み、すっかり時間がおせおせになっていたので、遅い昼食の場所に向かう。同じ永源寺内だけど、下界に下りる。
さようなら、近江のマチュピチュ。空気も時間もまるで違う君ヶ畑は、なにか人間が刷新されるような清新さがある不思議な場所だった。