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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

松の間にて。

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 まず自販機で入場チケットを購入。1Fは千円なり。その後、受付でパンフレットをいただく。

 受付のスタッフさんは、とてもきさくで親切な方だったが、実は案内してくださるすべてのスタッフさんが、もれなくそんな感じだった。事務的な方はひとりもいらっしゃらなかった。さすがは「もてなしの文化」と施設名にいれてあるだけのことはある。看板にいつわりなし。

 また仕事中だから同僚との私語を慎まねば、という「しょうもない」縛りはなく、楽しげに「どこそこのバイキングに行って来た」とか「松食い虫って、どんな虫なんかな〜?」とか自由におしゃべりされているのも、私には好もしかった。こういう仕事に、こういうゆるさは、ある意味必要な気がする。クレームに戦々恐々なのも、禁止事項多発地帯も、がっかりしてしまう。ここでは禁止事項を説明されるときも、厳しくも卑屈でもなく、絶妙に和やかだった。

 それに「角屋」は、「おもてなし」という言葉が流行る以前から、それを看板にした?場所なので、1階のガラスケースの展示品以外はシャッターフリー。「お部屋も庭も、思う存分撮ってください」とスタッフさんにけしかけられるほど(笑) おかげで、存分に撮らせていただきました。

 時間を区切って「松の間」で説明をされているということなので、まず「美術館」スペースで、宴会で利用されていた漆器の食器を拝見して、「松の間」へ。

 元は1本で竜が臥せっているような形だったので、「臥龍松」と呼ばれていた。それは大正時代に枯れてしまい、今あるものは二代目。二世の木々で復元したものらしい。この松が見えるお部屋なので、「松の間」なのだ。

 枝垂桜が、もうちょっとで開きそうなのになあ(惜しい)。「咲いたらさぞかしキレイでしょうねえ」と言うと、ガイドのおじさんは、ご自分の携帯を取り出し、去年の桜の画像を出して見せてくださった。やっぱり、ここのおもてなし感は、私的であたたかい。

 縁側を回り込んでみる。

 角屋が持つ三つのお茶室のひとつ、曲がった木が建材として使われている「曲木亭」。ガイドのおじさんが、「このお茶室は、オープンカフェなんですよ!」とおっしゃったので、ズームにしてみたら、たしかに2方向の壁がない! 野点の空気感を味わえるお茶室なんだ。

 竹の樋が渋い。下2段だけ桟の間隔が違う障子もお洒落だ。 

 このお庭の景観の素晴らしさは、遠くお江戸にも鳴り響き、浮世絵の画題にもなったほどらしい。

 縁側を回り込んだ、前栽のお庭もスタイリッシュ。

 回廊とか渡り廊下って、大好きなんですよね〜♡

 もちろん室内だって、洗練された豪華なものだった。これは床の間。輝きを抑えた金箔のバックに、不思議な字体の渋い書の軸。

 渋い蔦模様の唐紙がついた床脇天袋。マットな質感の金箔と、よくマッチしている。

 下部が波頭の襖、真ん中がガラス、上部が障子という凝りよう。ガラスを通して見える風景は、さながら一幅の絵だ。

 ガラス部分も上部の角はアールになっていて目に優しいし、障子の桟も二重でチェックのよう。

 その桟をそのまま斜めにして、障子の上のあかり取り窓の桟のデザインに。ううむ。

 欄間だってタダモノじゃない。シンプルなようで、4枚とも模様が違うし、精緻な仕事ぶりだ。

 そういえば、これはクレバービルのK子さんのご実家でみたものと、様式は一緒。もしかして、「角屋モデル」だったのか!? 

 釘隠しもかわいい。角屋モデルは、女子好みだ。

 襖の手は、天袋の蔦の葉と合わせたものか? いやそれとも、この部屋のメインともいえる襖絵の桐の葉とお揃いなのか。

 その襖絵、「金地桐に鳳凰図」。豪華すぎる。

 中国の伝説によれば、霊鳥である鳳凰は、桐の木にしか留まらないのだとか。

 そういうことで、この組み合わせは最高の地位や高貴な位などを表しているらしい。