いつのまにか羅漢つながり。
さて、あと一回を残すところとなった青春18キップ。これの予定は、半月以上前に、ざっくりと計画した。
兵庫県の北条町に五百羅漢を見に行く、青春18キップ使い倒し旅。片道運賃3千円、往復6千円、これを2千円(すでに前払い済みだが)で行っちゃおうという旅。
使うのはJR東海道本線、JR加古川線にプラスして、鉄道マニアが注目しているという、第3セクターの北条鉄道北条線も制覇する(20分で制覇できるが)。
なんでそんなマイナーな場所に!? といえば、遡って今年3月初頭に行った「清涼寺」がそもそもの発端なのだ。
そこでみた狩野一信の「五百羅漢図」(下絵)にいたく心を惹かれ、じゃあ下絵が完成品となったものは?と調べると、東京の増上寺にあった。『芸術新潮』のBNで特集されていることも判明し、早速、図書館へ。
『芸術新潮 2011年5月号 』の特集「知られざる超大作の扉が今開く! 五百羅漢の絵師狩野一信」を借りてきて、そのあまりの濃さに悶絶した後、続く記事も読む。関連して「全国の五百羅漢」についても詳細に紹介されていたので、目を通した。なかで、ひときわ異彩を放っていたのが、北条町の羅漢寺の五百羅漢だった。
まるでモアイ! まるで石の木喰! 石仏版円空! と、興奮を隠しきれず。
場所を確認すると兵庫県。神戸のある場所だ(あとで確認したら神戸よりずっと遠かった!兵庫県は広いのだ!)。日帰りで行けない距離でもない。日帰り旅の味方、東海道本線新快速が長距離で使える場所でもあるし。ということを、とりあえず心に刻んでおく。
さて3月に青春18キップを入手後、この旅を実行に移すべく、きちんとアクセスを調べ、日帰り旅の計画を立ててみた。目的地の羅漢寺がある北条町駅まで、およそ160分! つまり2時間半以上は移動になる。往復で5時間以上だ。そこから計算したら滞在時間は1時間ちょっと。羅漢寺までの徒歩での往復は30分かかるので、正味30分しか羅漢さんを見られない。
しかしこのタイトな予定は、「電車に乗り遅れる」「ステキ物件に、うっかり寄り道してしまう」などのアクシデントを含めてたてたものだから、1本遅らせることは可能。それでも1時間30分しかない。
それに乗り継ぎが極めて短い。最長7分、最短2分。とくに北条線は1時間に1本なので、乗り遅れは致命的である。
そしてこんなマイナーな場所の過酷列車旅なので、最初はひとり旅でとおもったのだが、私の何倍ものハードな旅をこなされる盟友・れんくみさんに話を持ちかけてみた。すると非常に興味津々の「ご一緒したい」レスポンスが返ってきたので、「では」ということに相なった次第。
考えてみれば、今年は2月の頭に出向いた伏見ツアーの石峰寺で、伊藤若冲プロデュースの五百羅漢にお会いしたのを皮切りに、清涼寺の五百羅漢図下絵を見て、そこから思いもしなかった北条町の五百羅漢へとつながった。意図した訳では無く、自然な芋づる式に。もしかすると、今年は、個人的に「羅漢イヤー」なのかもしれない。