陶房、そして理想の縁側。
椅子が沢山ある休憩室から、入室はできないけれど陶房に陳列してある作品や彼のデザインを眺める事ができる。
一貫して館内に流れるトーンは同じ。懐かしくて温かくて優しい。
試験用陶片は、釉薬や彩色する絵の具の配合を事細かに試しては記録し、モノにする努力を惜しまない寛次郎らしい。いや、もしかすると、そんな根気づよさは、実験そのものが好きだった彼のマニアックさの現れなのかも?
テストを繰り返す寛次郎って、かなりの理系なのかも。
さりげなく置いてある道具入れなんかも、あなどれない品々だったりして。
寛次郎にとってのサンクチュアリ。仕事の場は、祈りの場でもあったのだろう。生活も労働も祈りも同じ土俵なのだ。
休憩室にも寛次郎の作品は展示されているのだが、それより気になったのが、天井からぶら下がっているコレ↓
見た事あるな、これ。漁師さんや漁船とセットで。いやもっと最近見た。『あまちゃん』の喫茶&スナック「リアス」で照明器具になってたっけ!
調べてみると、「浮き玉」という漁具で、漁網を浮かせる目的や目印として使われていたが、最近ではプラスチック製のオレンジ色の玉に替わっていったらしい。『あまちゃん』のスタジオセット(の一部)の元祖が「河井寛次郎記念館」にあったとは!
休憩室を出ると、向かいに見える縁側。これがツアーの全員一致で「理想の縁側賞」に輝く。(3名だが)
ひなたぼっこには持ってこいだ。
今にも縁の下からネコが顔を覗かせそう。
せっかく、すのこを歩いて中庭を突っ切って、受付のある場所にもどったのに、ここに座ってこなかったのが、ちょっと悔やまれる。