「茅の輪」を潜りに。
そうだ、京都へ行こう、もう6月の終わりだし、「茅の輪(ちのわ)」をくぐりに。
と、思い立ったのは昨夜。いや、今夜かもしれない。たぶん0時前後だ。
「茅の輪(ちのわ)くぐり」とは「夏越祓(なごしのはらえ)」ともいわれる、6月末の神社の行事だ。「茅の輪」をくぐる事によって、半年間の穢れを祓い清めて無病息災を祈願する。
本番は6月30日に行われるが、茅の輪は6月の下旬には設置されているので、参拝者は自由にくぐることが出来るのだ。神社によっては紙の人形(ひとがた)に自分の氏名を記し、穢れを移して神職の方に祓っていただく、というものもある。
さて、ではどの神社に行くか? たいていの神社で「茅の輪」は設置されている。市内の神社でも見かけるくらいだ。
せっかくだから、行った事の無い場所にしよう。そういえば、「黒木の鳥居」という珍しい鳥居のある神社があったっけ。ええと・・・そうそう「野の宮神社」だ。「源氏物語」にも登場する由緒ある神社で、嵐山にあるらしい。ということで、行き先は決定した。
翌朝確認したら、「野の宮神社」の近くに、「天龍寺」という世界遺産のお寺があるそうなので、これでルートを組もう。
だったのだが。持って行くはずだった雑誌の切り抜きも、京都の観光ガイドもすっかりカバンに入れ忘れて、ばたばたとバスに乗ってしまった。まあいいや、それは。なんとかなる。現金と読書会の課題本さえ持ってきてれば大丈夫。
お出かけの大きな目的のひとつは、課題本の読了だったからね。家にいるとやることが次々に浮かんで来て、じっとしてるとお尻が落ち着かないのだ。
乗り換え時間もギリチョンながらスムーズに連絡し、11時前には嵯峨嵐山駅に到着した。矢印案内を見ながら道をゆく。なるほど、線路沿いに行けばいいんだ。楽勝だよ。
七夕飾りのひるがえる、ほのぼのした商店街を通り、
昭和の匂いの床屋さんに感激し、
線路を横切り、
嵯峨野の竹やぶや竹細工を模したらしい商店街の灯りを見上げ、
大切に可愛がられているらしき「ぽっちゃん」の睡眠をシャッター音で妨げたあげく、突き当たりに出た。
あれ!? 道沿いに神社があるはずじゃなかったっけ?
・・・あ! さっき踏切渡っちゃったよ!! 線路沿いに行くべきなのに!
桂川に行き当たり、渡月橋を遠くに見て、途方に暮れた。徒歩の人は誰もいない。近くの新聞店の年配女性に道を聞き、反対方向なのを知る。とりあえず渡月橋まで戻り、橋の反対方向に行けば天龍寺に行ける、という情報はゲットできたので、渡月橋まで歩く。到着早々やらかしてしまった。
渡月橋が近くなると、観光バスがひしめくように停まり、お土産スポットが軒を並べ、老若男女が溢れかえっていた。とても平日の昼間とは思えない賑わいだ。
しかし私は時間と体力のロスを取り戻すべく、先を急ぐ。少しだけ脇目をふりながら。