養老山麓サイダー
道の駅「かがみの里」で買ったもので、昨日書き忘れたものがひとつある。
養老山麓サイダーだ。
まだブログを始める以前、Kちゃんが小学校中学年くらいだった頃、ふたりで岐阜の養老公園内にある「養老天命反転地」に出かけたことがあった。不思議なオブジェや意表を突いた表現に、ふたりして大喜びだった。トイレにまで意匠が凝らされていたので好奇心を抑えきれず、こっそり男子トイレにも闖入したくらいだ。
「養老天命反転地」とは、世界的に有名なアーティスト、荒川修作氏とそのパートナーで詩人のマドリン・ギンズ氏の30数年に及ぶ構想を実現した、身体で直接体験できるアート作品たち。どんなものかを説明するのは難しいので、興味のある方は、上のリンクからHPを覗いてみてください。難しいことは考えず、まずは体験してみるのが手っ取り早い。
そのとき、養老公園内のフードスペースでみつけたのが「養老山麓サイダー」。その名のとおり養老山麓の天然水を使い、グラニュー糖のみで甘さを出した手の込んだサイダーだ。その後、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」のバスツアーに行ったとき、養老SAで休憩中にこのサイダーと再会。重いので、帰途時購入した。
それ以来だから、かれこれ10年以上の年月が流れた。それにしても、こんな近くで、しかもたった1本残っていたのを購入できたのだ。ラッキーとしかいいようがない。
そしてブログを書くにあたり、なにげなくウィキを当たってみたら、こんな記述が!
「2013年5月をもちまして生産終了となりました」
えええええーっ!?
生産終了は販売終了とイコールではないが、生産が途絶えて、すでに1年以上経っている。生産終了するにあたって大量に作られている可能性もあるが、デッドストックに限りなく近い。ことによると、ほぼヴィンティージかもしれない。
そんな貴重なサイダーを、おいそれと飲む訳にはいかない。冷蔵庫から出して、つらつら眺めてみた。
ああ、そういえば近江八幡のイシオカ書店の故・奥村店長が、まだお店にいらした頃、このサイダーをお土産として持って行ったことがあった。いたく気に入られて、わざわざ車で養老SAまで行って買って来られたこともあったっけ。
作家の中島らもさんが、階段から落ちて急逝されたしばらく後、奥村店長も天に召された。まばゆいばかりに美しい8月の最初の日に、百合を1本お渡しして、別れを告げた。10年前の事である。
偶然やってきた養老山麓サイダーは、もしかすると「命日までちょっと預っといて」という店長の計らいかも。
はいはい、しばらくは飲まずに置いておきますから。