肝試しにびびる
Kちゃんは大学の学園祭実行委員として、業者さんと丁々発止とわたりあったりもして夏休みも準備に追われている。
そんな学祭委員会も、夏の合宿をする。昨年もあったのだが、塾のバイトが抜けられず、彼女は不参加だった。
しかし今年は参加を要請されたようで、浮かない顔なのである。
合宿のメインイベントは、「肝試し」だからだ。
Kちゃんはバイト先では「肝が座っている」ことで評価されているようだが、それはあくまで対・人間に限る。対・オバケとか対・幽霊とか対・ジェットコースターとかになると、もうだめなのだ。
友達と行ったテーマパークで乗ったジェットコースターから降りた時には、顔面蒼白だったそうだ。おばけ屋敷では、マジで腰を抜かしたそうである。そしてオバケに爆笑されたそうである。そんなおばけ屋敷でのあまりのリアクションの激しさが友達に受けまくり、一緒にお化け屋敷にいこうというリクエストが絶えないらしい。本人は全力で拒否しているが。
ちなみに我家では絶叫マシンもホラーも全員ダメなので、当然乗ったこともなく見たことも無いので、子ども達はなんの免疫もない。
だめなものはだめなのだ。人間、弱点はあるものなのだ。それなのに、ああ、それなのに、合宿のメインイベントは「肝試し」!
「去年はベタにコンニャクを吊るして首にペタ!て当てたらしいねん! そんなことされたら、飛び上がるにきまってるわ〜! それに蛇でるんやで、それもマムシやで! 去年噛まれてはるんやで! アブナ過ぎるわ〜! フツーの蛇でもあかんのに、マムシやで! 二人ひと組やけどくじ引きやし、どーしよーもないヤツと組んでしもたらドツボや〜〜」
と、はやくもそわそわと、肝試しにびびっているKちゃんなのだった。