秋のはじまり
稲刈りが始まっている。車の運転をしながらH氏が、「きのう雨が降ったのに(地面がぬかるんでるのに)、稲刈りができるんや! 今の稲刈り機は性能がいいし、へっちゃらなのかもしれへん」。まだ暑いけど、空も高くなって、いよいよ秋のはじまり。
運動会の話もした。
「小学校のとき、運動会の最後にみんなで『江州音頭』踊らんかった?」と、H氏に訊いてみた。
「あった。あれ、いややった。運動会のすべてがいややった」
彼はもともとが近江の人ではないので余計そうだったのだろうが、「みんなで一体感ハイになって、気持ちが盛り上がる」というタイプではない。サービス精神もあるし繊細に気を遣うひとなので誤解を招いているようだが、基本的には、孤独な自由人なのだ。
逆に私はそういうのが、大好きな子どもだった。わざわざ違う地域の盆踊りの輪で踊ったことすらある。踊りが、ごくシンプルだったから、ということもある。一人遊びも、自由にうろうろするのも、外遊びするクラスメイトを気にすること無く読書するのも好きだったが、盆踊りについては、知ってる人であろうが知らない人であろうが気にせず輪に入った。
しかし後年、ディスコが流行った時には、一度も行くことは無かった。大学の学園祭に催されたダンスパーティにも興味なし。まったくの別物だったのだ。 もっとも、「運動会」や「体育祭」というものと縁が切れてからは、すっかり踊りの機会もなくなった。
ところで明日は中秋の名月だ。だったら今夜もきれいなはず!とベランダに出て確認した。期待通り、月は煌々と白い光を静かに放っている。
月見団子(スーパーの安物)も、チーズケーキ(こないだの神戸のおみやげ)も、たねやのバームクーヘン(いただきもの)もあって、お供え物については万全。
・・・と思いきや、ススキを忘れてた! その辺の道端で調達して来よう。