峰玉亭の贅沢
なにげなく廊下にあるこの筒は、遠目から見て「まさかのスツール?」と首を傾げていたが、なんと消火器収納箱だった。
廊下は栃の木の床だった。栃の木肌は裸足で歩くと、とても気持ちがいいですよ! と案内のおじさんがおっしゃったので、「生涯に栃の廊下を歩くのはこれきりかも」と、列の最後尾につき、靴下を踵まで脱ぎ踵を出して歩いてみた。なるほどまるほど、確かにちょっとない心地よさ。すべるでもなく吸い付くでもなく、足離れよくて着地したらスッと足裏が馴染む。冷たくもなく、ほどよい柔らかな感触。「いいね!」と指を立てたい。
廊下の天井も、やはり竹で案の定凝りまくり。
廊下の収納棚扉は、網代に編んである。
伊藤若冲か?とも言われているらしい鶏の絵。
うーん、たしかに「らしい」けど、若冲にしてはまっとうすぎるのでは。
写真ではわかりづらいけど、障子の桟が「面とり」してある。驚愕!
施主のお気に入りの窓。入口で見たのがこれだったのだ。
欅の一枚板の床板など、全国から選りすぐりの材を集めてある。欅の一枚板でも格別に美しいと言われる「玉杢模様」も浮かび上がっている。
薄暗い廊下の突き当たりに、例の花頭窓があり、その向こうには吊り下げ式の花入れ、もしくは香炉が? 絶妙なポジションにいる。
なんとも不思議な生き物。そしてやっとここで、茶目っ気のある洒落たものに出会えた。
峰玉亭を出て、敷地内にある近くの「紙屋川別館/湧泉閣」さんで、おまちかねのお昼ごはん。
玄関ではお花のお出迎え。
上がりかまちも、民芸風に凝っている。
畳に座ることが出来ないので、事前に電話で高座椅子を所望し、用意していただいた。当日に、お仲間が数人いらしたことを知る。
お食事は上品だけど、満腹になった。黄色いお皿の赤い丸い実は、巨大なヤマモモ(たぶん)で、珍しい。 またオクラや湯葉と付け合わされた赤いものは、梅の甘煮?と予想していたら、完全にはずれで。湯ムキしたプチトマトでした。