急ぎ足でお茶室を見る。
茶花園でツルコケモモを購入したあと、れんくみさんとはぐれてしまっていた。でも単独行動はいつものことだし、帰り道を急げば追いつけるだろう。
しょうざんの庭園には、京都各地から移築した茶室や屋敷が点在している。
創設者の松山氏は、京都の老朽化した名建築をこちらに移築し改修した功績がある。移築してきた茶室が3つあり、大徳寺からのものが聴松庵(ちょうしょうあん)と玉庵(ぎょくあん)。
聴松庵は裏千家・玄々斎の設計による茶室で、明治維新後、大徳寺から何度も場所を変え、ここに移築された。出入口の横が床の間になっている下座床(げざどこ、しもざどこ)の様式で、突き上げ式の窓がある。
こちらは玉庵の外観↓
玉庵は、現在も使われているそうだ。
これは酒樽から作った酒樽茶室↓ ほとんど秘密基地だ。金に糸目をつけない豪華建築だけでなく、こんな素敵物件も、よくぞ移築してくださった! 松山氏、えらいぞ!
かつて西陣の豪商の山荘にあったものを移築されたもの。
酒樽茶室から目を西に向けると、鷲ヶ峰三山(鷹ヶ峰 鷲ヶ峰 天ヶ峰)があり、庭園の借景となっている。
山水が流れる小川のせせらぎを聴きつつ、
ちょっと急ぎ足。れんくみさんに追いつかなきゃ。
モネの絵のように睡蓮が夢見ている! そういえばモネは日本庭園を真似て、自分の庭を造ったんだっけ。
夏には涼を呼びそうな風景もあり、
秋の風情にしっとりと佇む風景もある。
目に緑が染込むような、美しい苔だ。
水辺の社は、やはり弁天さまだった。
となりに静かにいらっしゃるのは、石地蔵にお顔を描かれた化粧地蔵さまだ。頭が黒いのが、なんだかかわいい。お花の容れ物がマグカップというのも、微笑ましい。
れんくみさんにはぐれたまま、出口に来てしまった。出口の岩には彼岸花が三本。
思い切って出るも出会えず途方にくれる。とはいえ、お土産の買えるホールがあったので、そちらに入って物色する。たぶん彼女はまもなくここに来るはず。ほどなく、れんくみさんが追いついてくれた。安堵。安堵したので、物色した物件を購入する。