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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

まあ殿

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 細見美術館を出たら、すでに足が棒にも関わらず休み無く歩く。

 秋の東山界隈はいいんですよね。

 こんなロマンチックな街灯があったり。勧業会館の付近だったと思う。

 色づいて散り始めたイチョウの大木があったり。

 平安神宮界隈は、図書館やコンサートホールの京都会館、動物園もある文化ゾーンだ。美術館なんぞはひしめいている。地図を確認しつつ、二条通りから神宮道に折れ、目的地を目指す。

 これは「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」で大人気の京都市立美術館だが、向かいには京都国立近代美術館があり、こちらでは「ホイッスラー展」が開催中。ホイッスラーはジャポニズムの先駆的芸術家だから、みごとにリンクしている。元気な若い人には一気にみることをおススメしたい。

 その両雄並び立つ中央には、ででーんと。

 平安神宮の大鳥居が。

 車と比較すると、その大きさを理解していただけよう。

 麓には南禅寺のある山を見つつ、橋を渡り三条通に向かうが、目的地はその手前の和菓子司『平安殿』本店。平安神宮御用達だが、敷居は高くなく、庶民的にすぎず、和やかでほっこりするお菓子が並んでいる。

 箱入りの「栗しるべ」は栗の形はすれど、栗落雁にあらず。和三盆とそら豆ベースの上品な落雁だ。ガラスケースにちゃんと明記されていたから、お客も納得の上購入しているはず。

 駅の名店街やお土産屋さんでは箱や袋でまとめ買いしかできないが、本店ではすべてのお菓子を1個よりバラで購入できるので、この界隈に来たら必ず立ち寄る。高級生菓子もここでしか買えないし。

 こちらは栗尽くしの栗きんとん。栗の野趣と自然な甘さがマッチして、山の木漏れ日の下にいるような味がする。

 「粟田焼」は平安神宮近くに窯元があった焼き物で、京焼のなかでも歴史の古いものだけど、現在は廃れてしまった。「平安殿」の先代が粟田焼のコレクターで、なんとか名前だけでも残しておきたいという思いから作られたお菓子らしい。

 

 だからパッケージに「陶菓」、「粟田陶器製造所」と書かれているのだ。絵の中には「陶器師」の文字も見える。香ばしいお醤油味の餅とほのかに甘い餡の相性が良すぎて、うっとり。

 この、けっして巧くはないが、朴訥で誠実な「平安饅頭」の文字は、横の署名から武者小路実篤先生のものとわかる。そういえば、お店に本物の色紙?がありましたっけ。絵も文化勲章を受賞された楠部彌弌先生だそう。

 京ブランドでもあり、もちろん看板商品でもある「平安殿」。ひとくち齧ると、白餡にほどよく混じった柚子の風味が、やさしく爽やか。少し固めの焼皮には、平安宮の緑釉軒丸瓦の文様を表現するため、わざとひび割れ文様を入れてある凝りよう。

 パッケージの「平安」の文字が、ひらがなの「まあ」にみえるのも、ネット上では少々話題だったりして。

 ↑こちらは「平安饅頭」。「平安」の焼き印が、やはり「まあ」にみえる。