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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

「獅子と狛犬」(後半)

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 普通は二体で一対のものを「狛犬」と呼んでいるけれど、実は「角のあるもの」を狛犬、「ないもの」を獅子と区別しているらしい。

 それにしても、各カテゴリー初頭に掲げられたパネルの筆者の、自信なさげな筆致ったら。「狛犬についてはいまだ不明なことも多々あり」「後の研究を待ちたい」。要するに、長らく学問として認められていなかったらしく、途上の学問らしい。

 正直、前半はわりに見慣れたタイプのものが多くて、夫婦でツッコミ大会をする。「あっ、コイツ、極悪なやつや! 隣の阿形のは単なるチンピラな乱暴者やけど、吽形のは、何考えてるかわからん腹黒い笑みを浮かべとる」。わりと悪党面!?率が高かったかもしれない。(個人的には愛荘町の掌サイズのペアと、円空作の悪辣面が好き)

 ポスターにもなっている、シャープで直線的なペア�Hは、平安時代後期のもの。肋骨が浮き出て、足も肉球のあるべき足裏部分が異様に小さくて、カラダを支えるのがつらそうだ。だからあんなに硬直しているのかしら?

 そうそう、片方人面の狛犬?がいたけど、どこかのブログで「諸星大二郎のマンガにあったのとそっくり!」と書いてあったっけ。そういえば、魂の抜けたような、人情のない表情が、諸星さんの描く霊獣や妖怪っぽい。あれはなかなか異形な美しさがあったっけ。

 しかし「百聞は一見にしかず」というくらいだから、画像がないと伝わらないものがある。ダメ元でネット検索したら・・・見つけましたよ!

 印刷会社アインズさんの製作しているウェブ版「滋賀ガイド」での、ミホミュージアム「獅子と狛犬展」紹介のアルバムが!

 それも、私が「これっ!!」と目を付けたものを綺羅星のごとく掲載してあり、えらいぞ、アインズさん!!とおもわず激賞してしまったくらい。というわけで、上のリンクでぜひ写真をご覧ください。

 アルバムには、石灰石を掘った随時代(6〜7世紀)の獅子像�Gもあった。これはH氏が「赤塚不二夫のマンガに出てきそう」と評した、「困ったのう〜」という表情のナサケナイ獅子である。

 鎌倉時代になると、狛犬たちも非常にマッチョに変貌する�M。運慶快慶の仁王像のようだ。威嚇するような表情も、やはり仁王門の仁王さまの役割と同じく、境内の大事なものを守ろうとするためだろう。そうそう、狛犬も仁王同様、阿形(宇宙の始めを示す)と吽形(宇宙の終わりを示す)の口をしている。

 今回の私の一押しは、特別出品された双吽(2体とも口を閉じている)の木造狛犬だ�R。朝鮮王朝時代の半島で作られたものらしい(実は不明)が、なんとなく沖縄っぽい南の風を感じる作風だ。眉毛こそは巻き毛だが、頭髪?はなんと、オールバックで直毛のアゴヒゲもある。

 全体の印象は、「オールバックで鼻歌レゲエを歌う狛犬」。会場内でも、とりわけ異色のペアだった。出色の特別展示品だ。

 それから出口付近で待ち構えている、円空狛犬�Oが小さいけれど面白い。さすがは円空円空仏の特徴となっている光背のギザギザがタテガミに転用され、カラダの大胆な渦巻き模様もダイナミック。

 阿形の歯を剥いた口が、マンガ「へうげもの」で古田織部が企みを成功させたときに見せる表情にそっくり!(わかりにくい喩えだ・汗) つまり「俺様の企みに、まんまとひっかかりやがった!」的な笑みね。

 そんな愉快な狛犬たちや、古い狛犬たちの多種多様な悪だくみの表情を、ぜひ鑑賞してみてください。

 紅葉もきれいですよ♪