「京のよすが」その1
電話で「かぶら寿司、いりませんか?」と確認したあと、ジップロックに押し込んだかぶら寿司の袋をぶら下げ、読書会のセンパイのおうちに伺った。
歓待してくださり、あれこれとおしゃべりして、とても楽しかったのだが、そのときに出していただいたお菓子が、亀末廣(かめすえひろ)さんの「京のよすが」だった。
浅学、仄聞にして知らなかったのだが、「茶の湯をたしなんでいる人なら誰でも知っている」という有名なものらしい。そうか、茶の湯はほんのとば口に立ったたけで、足を踏み入れてもいないくらいで(基本形を何回やっても覚えられず・汗)、「たしなむ」ところまでは、はるか遠かったからなあ。
でもその後、和菓子には興味津々だったけど、これはなぜか知らなかった。
調べてみれば亀末廣さんは、1804年、つまり200年前からの創業になる。江戸時代には二条城(つまり将軍家)や御所からも注文があったという、老舗中の老舗だ。
そんなお店、「亀末廣」さんの代名詞としても知られるのが「京のよすが」らしい。
四畳半に区切った秋田杉の箱に、季節感あふれる干菓子や有平糖、半生菓子などが彩り良く詰め合わされたもの。だから「京のよすが」の通称は「四畳半」と呼ばれている。四季折々に内容が変わるため、常連客でも次の季節の「四畳半」の景色を楽しみにするらしい。
このご時世に、店頭販売のみで、お客様との一期一会の出会いを基本方針としている上、日祝日はお休みだし、予約は年末のみ。さすが200年の歴史がある老舗だけあって、腹が据わっている。
構えはいかにもだけど、「個人客への対応も腰がひくく、丁寧」というネット上のレビューをいくつか読んだので、京都の老舗にありそうな上から目線にびびることなく、気持良くお買い物出来そうだ。
箱に掛かっていたのし紙は中央に松葉が描かれ、屋号の亀がプレスされている凝ったもの。
松葉の絵解きだが、その針のように細い葉は、他の木の葉と違って広がりがない。朴(ほお)や柏の葉は、柏餅のように物を包むことができるが、松葉では何も包めない。
ここから、松葉で包むほどのわずかな物ですという意味を込めて、昔の人は松葉のしを書いたそうだ。いわゆる寸志の意らしい。ということも、帰宅後調べてみて知った。
老舗のお菓子は、奥が深くて面白い。勉強になるぞ。