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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

宗達の後継者たち

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 おまたせしました、やっと『桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち』の会場、京博の重厚な明治古都館に入場する。5月の半ばまで使えるパスポートで。これでやっと「モト」は取ったはず。(ただし同じ企画展で使えるのは1回のみ。国立博物館つながりで奈良博も使えます。遠いけど東博や九博だって)

 今回は音声ガイドを借り、じっくりと。だって、「洛外洛中図」などの俯瞰したものなんかは、細かすぎて見どころ見落としそうじゃありませんか。

 ところで狩野永徳を好きか?と問われても、うーん・・・と困ってしまうかもしれない。さほど興味がないともいえる。でも京狩野派の山楽、ことに山雪なんかチョー好きだ。ということは、他にも「掘り出し物」が期待できる。

 最初の部屋では金碧大画が並ぶ。いきなり光信筆「松図襖」がどどど〜んと大画面の大迫力。さすがは永徳の後継者。でも私は同じ部屋の山楽の「槇に白鷺図屏風」の方が好み。白鷺の表情がかわいい。でもこの部屋のベストは。

 先日の座談会で、パワーポイントで画像をみたとき、「これはっ!」と気になった宗秀筆の「柳図屏風」の近くに行った時、風に吹かれる幻覚を覚えたほど柳のそよぎに心打たれた。永徳の影武者といわれた実力者。この展覧会の中ではかなりシンプルな絵になるけど、個人的にはすごく好きだ。

 次の部屋は永徳が突然死去し、そこに長谷川等伯が台頭。権力者の御用絵師の座を奪われるも、永徳の後を継いで盛り返す光信の、花鳥風月をはじめとする華麗な絵たちだ。彼の筆ではないが、「源氏物語図屏風」には、平安貴族たちを観察するお侍がふたり、こっそりと描かれている。お茶目。もしかして、山口晃画伯も狩野派の流れを?

 秀吉の愛息子、鶴松の健康と繁栄を願って作られた、贅を凝らしたちいさな具足「松竹鶴亀図童具足」の絵付けも、光信の作。丁寧に施された吉祥文様の数々もむなしく、鶴松はわずか3歳でこの世を去った。豪華なものだけに、余計哀れさが際立つ。

 次の部屋は、権力者の肖像。豊臣秀吉の有名な肖像画が、高台院こと寧々と淀殿の肖像に挟まれているのも、ご愛嬌。小早川秀秋さんの「ナサケナイ表情」が際立った肖像も、しっかり見てきました。肖像界屈指の珍品かも。大名の夫人たちは、やはりお着物の柄が丁寧に描かれていて、ガラスが曇るほど近づいてみてしまいました(汗)