萬生堂へ
駅前で信号待ちをしているときに発見した、ドキドキするような物件。
黒壁の方は母屋で、白壁の方は蔵かな? どちらにも変形なまこ壁っぽい意匠が施されている。内心、大興奮。
黒壁に「こて絵」らしきものも。
蔵の丸い飾り瓦の中央には、「こづち」の模様が見える。
しかし残念ながら、どうやら空家のようだ。
目的地を目のまえにして、はたと足を止める。「美容室 近代」!?
・・・どんな美容室なんやろう?? と「美容室 近代」の方向を示す矢印に従って、どんな建物なのか確認しに行こうかと思ったが、滞在時間が1時間余りしかないことを思い出し断念する。モダニズム建築? モダンアートな美容室?と、あれこれ妄想したが、あとで重政さんにきいたら「普通の美容室です」とのこと。
ちなみに萬生堂さんの看板の下に、「通り抜け可」の文字があった。普通は「通り抜け禁止」と書いてあるのに、なんて太っ腹! これだけでも、絶対いい本屋さんだってわかるじゃありませんか。
ついについに積年の望みを叶えて、萬生堂さんへ足を踏み入れた。想像していたよりずっと広々した明るい店内で、児童書コーナーも広くて充実。ちらと見ただけだけど、さっすがきちんとした選書で本棚に本が並んでいる。私も現役でなくなってからずいぶん経つので、大きな口はたたけないが長年の勘や並びをみた感じは、「おぬし、なかなかやるな」といった気配が漂っていた(しっかり大きな口叩いているじゃないか)。
ほかの棚を見る前に文具コーナーに行ったら、胸を打ち抜かれるようなセンスのいい文具たち・カードたちが並んでいるので、すっかり舞い上がってしまう。雑誌とかも見ておきたかった。スヌーピーとムーミン柄が好きなKちゃんに、スヌーピーのノートとムーミンのカードを買って上げる。
ドキドキしながら重政さんと初対面のご挨拶をして、ご実家に案内していただく。手づくりのお庭のある、趣味のいいさりげなく凝った和の邸宅で、いちいち感嘆してしまう。欄間の細工の素晴らしさに、しばし呆然。黒柿の箪笥の、なんともいえない肌合いにうっとり。
最初の話題は当然、出会いの場だった掲示板の主であるTさんのこと。そこからいろいろな話をしたけど話が弾んで、聞こうと思っていた広島のごくごくローカルな出版社、「家族社」さんのことを聞き忘れてしまった。
今はもうないけど、かつてここが出していたミニコミで新聞形態の定期刊行物「月刊 家族」を愛読していたので、もしご存知だったらと思って。ミニコミだから、本屋さんには置いてないのだけど、地元なのでもしやと。
途中からウメちゃんも乱入し、人懐っこくお菓子のおねだり。かわいいシバワン子ちゃんでした。ワンワンともいわないおりこうさん。
生憎おいとまの時には土砂降りになり、駅まで送っていただいた。いやー、時間の経つのは早いわ。
萬生堂さんに来れて、重政さんにお会い出来て、本当によかった。自分の酔狂さに感謝する。重政さん、おもてなし、ありがとうございました。