聴竹居の居間と縁側
さすが建築体温の高い集団なので、入った早々、みなさん顔を輝かせて熱心な観察に余念がない。林先生は興奮さめやらない一同を満足げに眺めつつも、まずは説明ということで、ひとくぎりしてから一旦居間に集合をかける。
写真は撮り放題なんだけど、ネットにアップはできないので、パンフレットから写真をお借りする。
まず聴竹居は自宅として建てられたので、8人が生活できる空間を確保してある。自宅で8人は多いとお思いかもしれないが、むろん金満家の藤井家には住み込みの使用人もいるのだ。
各部屋ごとに天井や照明器具が異なり、部屋ごとに変化を持たせている。居間の天井は襖と同じだそうだ。「隠す収納」ワザも取り入れられ、神棚や仏壇も普段は戸袋や扉の向こうだ。総じて最小限の幾何学的なデザインと、機能的でシンプルな内装で統一されている。
聴竹居は居間を中心にした作りになっており、団らんの場である居間に、藤井さんは全精力を注いでいる。フローリングでテーブルと椅子の場と畳敷きの場の2カ所が居間である。もちろん畳敷きの場は、フローリングよりも床が高いのだが、畳で座る人の目線が椅子の人の目線とあうように計算されているそうだ。そこまで!
(パンフより)
またその段差の部分に、開閉出来る扉がついている。扉の中には「クールチューブ」というものがあり、夏には涼しい外気を取り込むことができるらしい。−3℃違うそうだ。自然の力を最大限に取り入れている住まいなのである。
次にサンルームである「縁側」の部屋へ移動。「縁側」というだけあり、細長い部屋なのだが、そのフローリングの床板は、端から端まで1枚なのだとか!なんという贅沢!! 4人がけのテーブルがゆったりと3つは並んでいるくらいの、けっこうな長さのある部屋なので、その長さを1枚板で取るとは!
(パンフより)
サンルームの天井は網代天井だ。網代天井はそれ自体空気が抜けるし、中央の天井部分には、クールチューブの部分同様、左右に開閉出来る木の引き戸がついていて、そこから空気の入れ替えが可能になっている。
屋根は銅板葺きで軽い上、庇もはね木工法(屋根の内部から屋根勾配なりに入れて、軒先を支える)になっているので、角の柱がなくても大丈夫らしい。角にはごく細い枠が入っているだけで、この部屋をぐるりとガラスで取り囲み、窓からの景色を最大限楽しめる工夫なのだ。
170�p以上の窓部分、そして下のチリ窓には、磨りガラスが入っている。つい見落としそうになったが、この時代のガラスとしては画期的なことに、ガラス面が歪んでいない。なんとガラス自体が貴重品だった時代に、ドイツ製の板ガラスを入れてあるとのこと。
うーん、床材といいガラスといい、カネに糸目をつけないというのは、こういうことを言うのか・・・。一目みたら贅沢でゴージャスなものとわかる手の込んだものより、こちらの方が金持ちの格が上だと痛感する。
さらに、彼独自のこだわりもサンルームの窓にはある。閉めるに従って、窓の溝を狭くしてあるのだそうだ。そうすれば、窓は隙なくぴったりと閉まるからだ。おまけにガラスを止めるビズの溝が、縦の並びのは溝が垂直に縦になるように、横の並びのは溝が水平に横になるようにと指定してあるのだ。
そこまでしたのか!! ・・・いや、そこまではしなくとも(汗)