聴竹居 読書室
藤井さんが心血を注いだのは居間や縁側だと思うのだけど、私とれんくみさんが一番盛り上がったのは、読書室(勉強部屋)だ。藤井さんにはお嬢さんがふたりいらっしゃったので、ふたつの勉強机が縁側に向かって並び、お父さんの藤井さんの机も、少し離れた窓に面して置いてあった。他の部屋同様明るすぎず、とても落ち着く明度だ。(写真は、とんぼの本『聴竹居』平凡社 より)
我家でも、学習机なんてぶっとばせ!という珍しく夫婦で一致した意見を見たので、小学校に入る子どもたちには、大人用の中古の木製デスクを調達した。Kちゃんなどは、アンティークショップで使用されていたアンティークの事務机だ。本職が気に入って使っていたものを横取りなのである(売り物件ではあったのだが・汗)
そんな私たちの目の前にあるのは、まさに私が理想とする机と椅子と本箱だったのだ。机と本棚は、作り付けのもの。深いチョコレート色がシック。机の前には障子があり、開けると縁側の窓が、外の景色が目に飛び込む。普通なら障子が窓の半分を遮ってしまうけれど、さすがは藤井さん、開けた障子が収納出来るよう、壁の所にも溝を作っていた。えらーーーい!
もっとも2人のお嬢さんの賑やかさに辟易したお父さんと、お父さんがいると煙たいお嬢さんがたが同室できるわけもなく、ほどなく「お父さん」は別室をつくり移動したとか。父と娘が高度な会話をしつつ、教え教えられ、学びあい読書するという構図を、藤井さんは夢見ていたのかもしれない。
あまーーーい!
しかも子どもが一室に2人居て、勉強できると考えているのは、もっと、あまーーーい!
外から鍵が掛けられる部屋らしいのだが、縁側に面した障子窓(というか壁が抜いてある)からするりと出られるので、まったくもって無意味。
もしかしたらこれは、お子様にはわからないアダルトなセンスなのかも。世のお父様方も、きっとこういう書斎に憧れているんだろうなあ。もちろん自分ひとりきりの。
以上、書いてから思いついたんだけど、そして世のお父さんたちの夢を壊す思いつきでもあるんだけど、もしかしてお嬢さんたちは「父親追放作戦」として、確信犯で騒いだのでは(汗)
娘って父親を愛していても、近くにいるとうっとうしいものなんです。そこ、わかってあげてくださいね。