狩野一信の五百羅漢図を観る。
宝物展示室のチケット売り場で、お得な「徳川将軍家墓所」と企画展がセットになったものを強力プッシュされたが、雨のうえ時間も限られるので企画展のみを見ることに。
なんで私がこんなに増上寺の五百羅漢図に執着するかというと、2014年に行った京都は嵐山の浄土宗の寺院「清涼寺」で、狩野一信の『五百羅漢図』の下絵を見てぶっ飛んでしまったのが、そもそもの始まり。詳しく知りたい方は、こちらとこちらの記事を読んでみてください。
そんな念願の五百羅漢図の後期展。作者は狩野一信。全100幅のうち、第41幅から60幅が展示されている。羅漢さんの日常生活と神通力を描いた場面だ。
たった20幅というなかれ。とにかく1幅がかなりの大きさで、こんなエネルギーに満ちた絵を100幅も描いた(一信はラスト4幅を描き残して死去しているが、それも妻や弟子が補筆して仕上げている)なんてことこそ信じがたいくらい。それもただならぬ実験精神と、とてつもないエネルギーでもって。幕末に西洋絵画の遠近法の技法なども、(成功しているとはいいがたいが)取り入れているのだ。
江戸東京博物館で、2011年、東日本大震災直後の4月から7月まで、100幅が一挙大公開されているので、もしかするとご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。しかし100幅をいっぺんに見るのは、見る方にもかなりのエネルギーを要するのでは・・・と今回実物を拝見して思ったりもした。1幅でも十分な大作なので見るのに時間をかけたし、1幅に注がれたエネルギーがとんでもないから、受け止める側だってそれなりに心の準備をしておかないと(笑)
神通力の場面が続く画面に、Mさんご夫婦は「あっ、これフォースだ!」と盛り上がっていた。彼らはつい最近「スター・ウォーズ」を見たばっかりなので、「スター・ウォーズ」ネタがマイブームなのだとか(笑) ストーリーに満ちあふれる羅漢さんたちのとんでもない超能力に、あきれるわ、驚くわで、ツッコミどころも満載。ほぼ貸し切り状態だったので、三人で自由にツッコませていただきました。
ところで昨年は一信の生誕200年だとか。
アメリカの大人気SF映画とリンクし、「200年のときを越えて、甦る伝説のフォースin五百羅漢図!」みたいな奇跡のスペクタクルだ。
大蛇の口の中で修行する羅漢さんの絵には、「大迷惑じゃん(口を閉じられなくなったヘビにとって)!」と、Mさんのご主人はややオカンムリ。たぶん動物愛にあふれるウチの家族も、同意するだろうな。
そんなこんなで、私が最も観たかった神通力の場面は彼らも気に入ってくれた様で、よかったよかった。
前期の「六道図」もスペクタクル全開だったらしいし、一信のエキセントリックな筆は、地獄絵図でも冴え渡っているんだろうなあ。いつの日か、全幅みてみたい。でも、いっぺんに100幅はちょっとご遠慮して、少しずつね。
こちらは3月13日までの会期なので、まだしばらく観られます。ご興味の有る方は、是非。