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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

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「ちかえもん」はレジスタンス時代劇!

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 さて、東京に行く前、「これだけはいっておきたい!」とブログで紹介した「ちかえもん」である。すでに全8回のうち、6回まで放映が終了した。残すところあと2回。NHK総合で木曜午後8時から絶賛放映中。万一見逃しても、同じくNHK総合で火曜の午後2時5分から再放送もある。

 周りの評判はといえば、少なくとも2月に行った読書会のメンバーはほぼ楽しく視聴しているし、東京でお会いしたブログ友達も絶賛していた。映画はおろかドラマも見ない男のH氏ですら、毎回付き合って見てくれるほどだ。

 第6回の「痛快娯楽時代劇/ちかえもん」は、あと2回を残すところで、物語は展開したりひっくり返ったり、泣きながら大笑いというアクロバティックなドラマが繰り広げられ、大きく舵を切った。 

 音楽も映像もスローな「知りたくないの」は、あまりにもハマり過ぎ。しかも今までのパターンとは全く違う挿入の仕方なのだ。全員の演技があまりに素晴らしく、相乗効果でえらいことになってましたよ。もうホント、ドラマのど真ん中に突き落とされました。

 ラストでは、私たち夫婦の「こいつ、ヘンタイ(正確にはサイコパス)やな・・・」というつぶやきとともに、to be continued。すごいわ〜第6回の「ちかえもん」。

 そんなドタバタにしっかりとシリアスなエピソードも入る。絶望のどん底にいる人間に必要なものは、芸術(芸能)全般だということを、ふかく再認識させてくれる部分にも大共感。音楽や美術や演劇や物語が、そういうときにこそ威力を発揮するのは、多くのひとたちが経験したことがあるはず。

 物語全体に漂う「お上への反逆」ぶりもスゴイ。「幕府が奨励した親孝行」(現政権でいえば「道徳教育」だろう)を真っ向から否定して、「赤穂浪士の忠義ぶり」もとことんコケにして、反対に大阪市と真っ向対立した「文楽」を前面にプッシュ。

 むろん国立文楽劇場もドラマに全面協力。素晴らしい人形の表情と、本職が仕込み「二重丸」と太鼓判を押した北村由起哉さんの夫義太夫節が冴え渡る。おかげで人形浄瑠璃の魅力を思い知った視聴者も、多いのではないだろうか。「忠臣蔵パート」の、ギャグのほんの一コマなのに、あの茂山家狂言)が見事なパントマイムやバックダンサーと勤めたりと、実はとっても反骨で贅沢なドラマでもある。

 それにしても普通の時代劇ファンや忠臣蔵ファンを(もしかしたら)敵にまわし、こっそり権力者とその施策を揶揄し、元禄の人間が70年代フォークを替え歌で歌ったり、時代劇で主人公が「ピュアな」とか「Don't miss it!」とか(心の声ではあるけれど)平気で言い放つ大冒険な企画が、よくも通ったな〜と思っていたら、なんとNHK総合の「木曜時代劇枠」が終了するのだとか。

 最後の最後によくやった!と、心の中でNHKの時代劇スタッフに拍手喝采している。脚本家の藤本有紀さんをはじめ、番組に関わったすべての皆さんにも、惜しみなく。・・・って、まだ終わってないけどね。