日本のはてで足止め!?
「お花見バス」は元来た道を戻るので、ふたたびマキノ駅から電車に乗れるのだけど、折り返し地点のJR永原駅にも停車する。そしてこちらで下車した方が、1時間早く帰れる。ポケット時刻表で確認したら、1時間に1本の電車に、乗れるか乗れないかという微妙な乗り換え時間だ。
これはバクチだな。イチかバチか賭けて見るか。と、ギャンブラーの心がむくむくと湧き出てしまった。
ということで、永原駅前で下車。
ロッジ風のかわいい駅舎だ。同様の方々が10名いて、皆さんダッシュで無人改札をくぐる。
ところが。なんらかのトラブルがあったようで、電車が来る気配がない。一応、電車が遅れているむねのアナウンスはあるのだけど、肝心な所が聞き取れず、どのくらい遅れているのかも不明だ。
あきあきするほど待っても来ないので、改札近くでキップを販売しているオバサンに、状況を聞きにいくことにする。何人かはすでに下にいるようだし。
エスカレーターもエレベーターもなく、おまけに通常の2倍の階段を降りて聞きに行ったら、「もう電車がきますよ」という返事と同時に、ホームに電車が入って来る気配が!!
おいおいおいーっ!!(汗) と心の中で叫びながら、必死で階段を駆け上がり(自己イメージ。客観的にはヨタヨタとあがっていたはず)、やっとのことで、ホームにたどり着く。タッチの差で扉は閉まり、開閉ボタンを押すも、無情にも電車は出発し、女性車掌さんの気の毒そうな顔が、電車の最後尾の小窓から垣間見え通り過ぎる(悲) この悲劇に見舞われたのは、私を含め3名だ。
ああ無情!! なんという不運!
あと40分も、この世界の果てのような場所で待てというのか!
ふたたび改札近くまで戻り、近くに喫茶店がないか、せめてなんらかのお店がないかを訊いて見るも、すべて「1キロ先になります」という済まなさそうな声が返って来た。
ああ、無情!
仕方が無い。せめて駅前をぶらりと散策。
マンホールは西浅井町の町章である「西」を全面にデザインしてある。鳥は町の鳥でウグイス。左右のバラっぽい花は、町の花の山茶花、中央のは町の木であるツツジ。現在は合併して「長浜市」になった。
理容店には、お馴染みの三色のサインポール以外に、オレンジのものも!
しかし・・・まてよ、そういえば私はまだお昼ご飯を済ませていなかった。マキノの、どこか景色のいい場所で食べようと考え、安曇川の道の駅で、鯖街道の通る朽木村の名物、鯖寿司を買っていたのだ。
ここで食べられるじゃないか!
こうして世界の果てのような寂しい無人のホームで、竹の皮で包まれた鯖寿司を広げ、無心に食べたのだった。当時はさすがに虚しい気持ちでもあったけど、時間が経てば、得がたい経験をしたような気持ちにもなるから不思議だ(笑)
そんなふうに、まず来ることもないような駅前をぶらつき、駅のホームで世界の果てのような風景を眺めながら鯖寿司を食べる、という経験を積めたのだった。