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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

おひとりさまMIHOミュージアム

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 サンライズ出版のフリーペーパー「DUET」に、MIHOミュージアムで開催中の「かざり」展の特集が組まれていて、これを読んでしまったからにはいかねばならなくなった。

 普通なら車で、ということになるが、おでかけは読書タイムを兼ねるので、電車で石山まで行き、そこからバスでミホまで。電車は20分ほどだけどバスは50分かかるので、たっぷり読書の時間はとれそうだ。もっとも、車とはちがう高さからの風景は目新しくて、つい車窓に目が行く。山間では桐や藤など青紫系の花が飛び去っていった。

 甲賀市信楽町にあるMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)では、古代の仏教美術から江戸時代の曳山(山車)を飾る工芸品まで、日本に花開いた信仰の中の「かざり」の世界を見渡す特別展が開催されています。

 滋賀県内の社寺や自治会が所蔵する作品が数多く出展されている点も本展の特徴のひとつ。

 残念ながら伊藤若冲の絵は軒並み終了していたが、海北友賢筆の「大涅槃図」(江戸時代)は面白かった。以前、京都の真如堂で見た涅槃図に似ているなあと思ったら、やはり作者が同一人物。普通は涅槃図には描かれない、タコやクラゲなど、海の生き物までが集結している。というか、海そのものまでが仏陀の近くまでやってきたとしか思えないファンキーさ。地形までも動かすことになってしまった涅槃図(汗)

 「阿弥陀三尊来迎図」(南北朝時代)も端正で美しく上品だった。でもこんなに観音菩薩さまが腰を屈めて蓮花座を差し出し、いままさにお迎え完了という場面はめったにない。臨終した人のこれから蓮花座にのせようとする片足が見えてもおかしくない瞬間だ。そういう意味でも貴重なものかも。

 涅槃図も来迎図も、仏教美術のなかではかなり好きなジャンルなので、ゆっくりと拝見した。考えてみたら前者は仏陀の死、後者は人間の死を描いたものなのだな。ドラマチックで永遠の謎で、誰もが体験する普遍的なテーマだ。

 日本民芸館の「木造地蔵菩薩像 木喰仏」にも、ほぼ半年ぶりにお会いでき、うれしかった。あの微笑みは、いつ見てもうれしくなる。

 

 近江八景の欄間や、日吉大社竹生島の祭礼図などもたくさん見ることが出来た。美しく上品なミホらしい展示品だった。

 何度も来ているのに、ミホミュージアムの建物が、盛り土によって入口部分しか見えず、ちいさな祠みたいな感じなのに初めて気づく。いま山から生まれようとしているかのようなミュージアムだったのだ。盛り土部分は瑞々しい苔に覆われ、いまはサツキかツツジの花盛り。

 いつもは電気自動車でアプローチを横断するのだけど、この日は往復徒歩で。橋の袂を覗いて渓谷を眺めたり、苔から花の蕾がたくさん出ているのをみたり、枝振りのよい松を発見したり、やわらかな栗の新緑に感動したりと、見どころ満載。シルバ―のトンネルで、ひんやりしっとりとした空気を感じる。

 いつも満員で順番待ちのレストランで入店を待っていたら、隣の席の若い男子が、「こんなど田舎で、しかも平日やのに、なんでこんなに混んでるの!?」と驚いていた。

 残念ながら蕎麦は売り切れだったので、きつねうどんを注文。お食事はいずれも割高なのだが、感動的に美味しい。レストラン前の売り場のパンも、おそろしく美味しい。ミホに来ると、首から上は感動のるつぼなのだ。私はいつもクロワッサンを買うのだが、クリームドーナツも、ほんのりした甘さのパン生地とクリームのベストマッチで、驚愕するほど美味しかった。

 帰りのバス停は長蛇の列で、こんどこそ座るのは無理と思われたが、現れたバスは、大型観光バスだった! 50人ほどの乗客はしっかりみんな着席して石山駅まで帰れた。めでたしめでたし。