大原美術館へ
大原美術館に行く前に、まずは重くなってしまった荷物を置きに、宿泊する「アイビースクエア」でチェックイン。
建物は素敵だけど、宿泊する室内は、ほぼビジネスホテル。格安プランですから〜(笑) でもひとり旅だし、お部屋はフツーで充分。
それでも、大浴場があるのがうれしい。個室のお風呂はちょっと苦手。
アイビースクエアは、ホテル内の入口やレストラン、フロントに続く廊下やロビーなどは、昭和レトロな雰囲気が漂っている、ちょっとロマンチックな建物だ。
たどり着くまでの敷地内には、天領倉敷(幕府)代官所跡の石碑が。
関ヶ原の戦い以降、この地は徳川幕府の直領である「天領」になった。江戸時代の終わり頃には、代官所の北側に教諭所がつくられ、明倫館と名付けられる。以来このあたりは文教の中心地となった。
幕末の不穏な情勢の折り、代官所は灰燼に帰したが、明治21年に地元の先覚者たちにより、代官所跡に倉敷紡績所ができる。倉敷紡績の隆盛は、倉敷の発展に寄与することになる。
「アイビースクエア」フロントまでのアプローチには、いくつかの記念館や体験教室などもあり、和洋の古い建物にきょろきょろ。
身軽になったところで、風情のある川沿いの道を歩き、少し離れた大原美術館へ。
アイビースクエアも大原美術館も、「美観地区」と呼ばれている場所にあるので、どこを見ても絵になる場所ばかり。
川もあり、蔵もあり、石橋もある。
旧倉敷銀行の重厚な西洋建築と、長く立派な土壁とのコラボ。
クラクラするような向かい合う蔵の路地。
ひときわ目を惹くオレンジの壁土と、松模様の凝った丸瓦を載せた「有隣荘」の土塀。壁の色は、松の緑との補色関係も計算済み?!さすがは大原孫三郎の別邸! 彼は病弱な妻のための住居として、「有隣荘」を作ったのだとか。
通常は一般公開はされていないが、年に2回春と秋に特別公開されるそうだ。
こまかいですが、瓦自体の色も素晴らしいんです!! グラデーションのある織部グリーン! 思わず食いついてしまう私。道草ばかりでごめんなさい、Jさん!
もう目的地の大原美術館は、目の前に見えているのに!
龍の模様の石橋を渡れば、蔦の絡まる石積塀の、ゴージャス極まりない美術館だ。
ギリシア・ローマの神殿建築風。石造りではなく、セメントを使った人造石仕上げ。イオニア式柱の上には、三角ペディメント。当時の美術館建築の流行、アメリカンルネッサンス様式らしい。
設計は、薬師寺主計(やくしじ かずえ)さん。彼は、画家・児島虎次郎と同じく、大原の援助を受けてヨーロッパへ留学している。恩人・大原孫三郎のために、全力で理想の美術館を設計したのだろう。