白洲さんのおうち
白洲正子さんがご存命の頃から『芸術新潮』などで一目置いていたので、ご逝去されたときには軽くショックだった。でも長らく寝たきりの末よりは、よかったかも。次郎さんやご友人たちと同じ場所に逝くのは、もしかしたら楽しみですらあったかもしれない。
しかし白洲正子さんとの衝撃的な出会いは、彼女なきあとおこなわれたミホ・ミュージアムのオープニングイベント『白洲正子展』により、注目度が拡大した。彼女の愛用した遺品や、彼女が叱咤激励し応援した工芸家の作品など、すべてが私のツボだった。それだけではなく、いままでギラギラして品のない工芸品と思っていた螺鈿細工も、彼女のお眼鏡にかなった逸品を拝見して、螺鈿の素晴らしさに開眼したのだ。
「武相荘」についてはオープンするときから知ってはいたけれど、なかなか訪れる機会はなかった。でも「いつか必ず」と常時虎視眈々と狙っていたのではある。
そして今回、ついにその機会が来た! やっと来た来た、やっと来た!のである。
最初に、屋根付きのオープンテラスのような場所で、いきなり休憩。
ここは、故・ 白洲ご夫妻と「武相荘」を扱った番組録画が流されている(昔のEテレの『日曜美術館』だったと記憶している)。それを拝見したら、「武相荘」の予習ができるのだ。とてもいい番組なのだった。
しかし恋人時代に次郎さんが、正子さんに贈った甘い言葉を、亡くなってからもテレビで吹聴?されるのは「やだなあ」と次郎さんは思っているかも(笑)
いかにもしっかりした作りの家具たちのなか、やはり存在感があまりあるのはこれでしょう。
私は車にまったく興味がないから、価値も良さもわからないけど、存在感はすごい。もしかしたら、ルパン三世が乗ってたやつですか?くらいの、的外れなことしか言えない。(ちなみにルパン三世が乗っていたのはベンツSSKやアルファロメオらしい。この車ではない)
でももちろん次郎さんの愛車本体ではない。ほぼ同じ物を、NHKのドラマ『白洲次郎』出演のため、わざわざ英国から輸入されたものだ。埼玉の「ワクイミュージアム」のご厚意により展示されている、とも書かれていた。
絵はがきに車の内部写真があったが、次郎さんなみにカッコいい。車に全く興味のない私でさえ、そう思う。
ラストまで番組を見てから、行動開始。
おおきな門がある。おおきいけれど威圧感はなく、さっぱりとおおらかだ。
これこれ、臼を新聞や郵便物をいれる容器にしたもの。雑誌でこれを見て、すごく気に入って私もまねをした。赤ちゃんのお風呂用みたいな木桶を、大型郵便物入れにした。ただし軽い物は風で飛んで行くので、重しが必要。
門をくぐって、みどりのなかへ。
こちらはオープンデッキ。藤棚もある。心配は、花が咲いたときにハチがこないかどうか。遠目にはきれいなんだけどね、紫の花房の下でティータイムって。現実は、そうそう思うようにロマンチックにははいかないものだ。
こちらの白いステキ建物は、お食事もできるカフェ。私はスルー。今回は「リリエンベルグ」に飲食店代マネーをつぎこんだから。
幅広の石畳道が素敵。石畳って、子どもの頃から好きだった。・・・って、どんな子どもや。
不思議な帽子のような藁葺き屋根の家に行き当たる。これが改築された民家「武相荘」だ。
寿の文字が屋根のてっぺんに乗っかっている。こういうところ、正子さん好きだったろうなあ。
苔むした藁葺き屋根と、長い縁側。
では、はいります! よござんすか。 よござんすね!