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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

白洲正子展

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 事務連絡はこれまでとして、本日の話題は、現在「滋賀県立美術館」にて開催中の『生誕100年特別展 白洲正子 神と仏、自然への祈り展』に行きました、ということ。しかもひさびさにH氏とおでかけだ。わーい♪

 とはいえ、やっぱり県立なので、信楽桃源郷『MIHOミュージアム』のような豪華な展示内容ではないだろうことは予想できた。予想通り、悪くはないけれど、なにか地味な感じだったかな。

 白洲正子の著作に沿っての展示だったので、読んでいない人にはとっつきづらかったかもしれない(例えばH氏)。神仏に興味がない人にもつまらなかったかもしれない(たとえばH氏)。骨董品趣味の方にも期待はずれだったかも(例えば・・・いや、しつこいからやめるが)。

 でも、私にはいくつか掘り出し物があったので、なかなか興味深かった。

 正子さんが絶賛した、晩年作のやたらシンプルな円空仏(しかも群像!)。

 大津絵の釈迦涅槃図!!なんていう、珍品もあって、正子さんに同行した人の「まるで釈迦の昼寝ですね」という表現に思わずうなずく。

 『紙本著色 道成寺縁起絵巻』の女人が、かろうじてまだ人形(ひとがた)なれど、憤怒の形相で口から火を吹いたりして(もしかして舌か?)、ヘビ女に変形していきつつあるところ(そして追われる僧が荷物を取り落として慌てふためく様子)とかを綺麗なカラーで見て、すごいなー、こういうの好きかも〜と、うっとり(あれはやっぱり僧が悪い! あわれなのは、むしろヘビにならざるをえなかった女だと思う)。

 極楽と地獄が連続している絵とかもあって、これはもう地獄の方が、圧倒的な面白さだった。地獄といってもなんだか不思議に可愛いの。血の池に体がヘビで頭が鬼のヒトが、温泉みたいに並んで浸かってる様子とか、みてるとキュートですらあり可笑しい。針の山も永遠に戦う修羅の場所もあるんだけれど、どこか「のどか」な感じがする。

 正子さんの好きだった信楽焼の、「旅枕花入れ」もなんともいえない味があった。筒型の一見どうということのないものだけど、ちょっとしたねじれ具合や、色合いなんかが、どこかぐっとくる魅力をたたえていた。

 だけど、ずっとまえの、たぶん『芸術新潮』で正子さんが紹介されていた滋賀県の油日神社の『ずずいこさま』が、今回の展示物の中で、鑑賞者にかなりのインパクトをあたえたのでは!?と思われる。

 黒い木製の男児人形が木の桶に裸で横たわっているのだ。たぶん神事に使われる『ずずいこさま』人形は、男性器の部分が動くように設計されている。H氏の報告によれば、この展示物の前にいたおばあさん三人組は、「まあ○○○○だわ!」と、えらく盛り上がっていたそうである。

 正子さんは「みたとおりあられもない格好ではあるが」とことわったうえで、それでもいにしえのおおらかさゆえに、けっして下品にはならない愉しさがあるとしていた。こういうものにもちゃんと、公正にジャッジをくだしている正子さんの美意識が好きだな。

 H氏と唯一意気投合した逸品は、かつて正子さんが所蔵していた、やや小振りのラクダ色の狛犬一対。胸を膨らまして、でも足は細めで、表情が愛嬌があり飄々として、なんともユーモラスで愉しい。ああ、こういうものが生活空間にあれば、つらいことがあっても家でこれをみれば心が安らぐだろうな、という癒しの狛犬だ。そのとなりにあった犬像も愛らしかった。

 お茶目で可愛くてハッキリしたものが、やはり正子さんの好みだと思う。じっくり鑑賞していた私を、例によって長々と待っていてくれたH氏、待たせてごめんね。