奇跡的邂逅
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天五中崎通商店街をめざしたのは、大阪の名物古書店青空書房が目的地。
ところがシャッターが下りている。昨年12月にH氏がひとりで訪ねたときにもシャッターが下りていたらしいので、ふたりして不安な気持ちになるが、仕方がないので、少しトーンダウンした気分で歩き出す。
歩き出して1分も経たない時に、突然H氏がゆっくりと自転車に乗った老人を呼び止めた。
「あの、もしかしたら、青空書房の方ですか?」
ええっ!? 私はゼンゼン気づかなかったが、自転車に乗っていたのは、まさに青空書店の店主、さかもとさんその人だったのだ。
先日来インフルエンザで体調を崩して入院されていて、ほんの少し前に退院されたばかりだそうだ。ホントは今日もしんどいので休もうと思っていたけど、なんとなく気になって、店に来てしまったそうだ。
さかもとさんをキャッチしたH氏、すごい! さかもとさんを念力で呼び出した私たち、すごい(笑)
「もうぼくももう90やし。ほやけど、どんなにしんどくても、店に来たら、なんか元気がでるんですわ。ぼくは本が好きやし、店が生き甲斐やし」。そう、店主は89歳だ。
この言葉って、どっかで聞いたことがあるなと思ったら、Kちゃんと伊賀にいったときに立ち寄ったお蕎麦屋さん「そば松尾」の、今は亡きおばあちゃんが、おんなじことを言ってたっけ。
店頭に置いてあった雑誌『大阪人』の3月、4月号を購入する。4月号で『大阪人』は休刊する、と新聞で読んでいたので、ここに来たら買おうと思っていたのだ。(『大阪人』のHPで確認した所、5月号と5月増刊号をもって休刊となるらしい。あと2冊発行されます)
さかもとさんは、『大阪人』という雑誌の素晴らしさをページを開いて力説されていた。確かに3月号の司馬遼太郎の特集といい、4月号の大阪のデザインの特集といい、それは素晴らしかった。綿密な取材と高密度に構築された記事で、「ぎっしりな雑誌」を久しぶりに読んだ気がした。たいへんお値打ちなので、もし入手可能なら、是非ぜひ。
さかもとさんは、89歳ながらブログ『青空書房の青空』も作られている。さすがに管理人は別人らしいけれど、そこで拝見できる店主自筆の『本日休業』ポスターは、絵も字もはっとするほど瑞々しくてステキ。
どうか無理をなさらず、まだまだ元気で長生きしてくださいね、さかもとさん。