午後は広上DAY
ずいぶん久しぶりに、クラシックの生演奏を聞きに行った。何年ぶりかな、5年以上は聴いてないような。それも最後に聴いたのは、なんだかソロとオケがギクシャクしていてちょっとなあ・・・という残念なコンサートだったし。
今回は、京都市交響楽団の演奏、広上淳一先生が指揮、ガレッジセールがナビゲーターというお子様ターゲットのコンサートだった。それにしては、中高年の割合多し。意外なほど、お子様連れはちらほらだ。
私は始まる前の試し弾きや試し吹きから、久しぶりの楽器の生音に耳がよろこぶこと、よろこぶこと(笑)
コンサート名は、『こどものためのオーケストラ入門 オーケストラ・ディスカバリー2012 「名曲のひ・み・つ」』。4回シリーズの第1回目で「作曲家に隠された真実」と題して、ホルスト、ラフマニノフ、ロッシーニ、モーツァルト、マーラーという作曲家の意外な真実を、京響常任指揮者・広上淳一さんの指揮による演奏とナビゲーター・ガレッジセールの楽しいトークで倍楽しむという企画だ。実際はガレッジセールと広上先生の3人漫才と、先生が繰り出す作曲家のトリビア話題だったのだが。
これがまた予想以上のコンサートで、「こどものための」と冠がついているのに、難曲らしいラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」とか、最終章とはいえ、終わりそうで終わらないお子様たちの忍耐力を試すようなマーラーの交響曲1番「巨人」とか、知らん顔でプログラムに入っている。京都のお子様の耳レベルって(汗)
そもそもこれに出かけるキッカケは、以前ブログで書いたように、NHKの番組『心を鍛える音楽道場 〜指揮者・広上淳一と弟子たち〜』を見て、すっかり広上先生に心酔したからだ。
彼の指揮で京都にて行われる京響のデイタイムのコンサートを検索し、近々のものを探し出し、ネットでチケット購入の段取りをし、セブンイレブンに直行してチケットをゲットした、というミーハーぶりを発揮してしまった。
広上先生のビジュアルは、私見では映画「ツインズ」でシュワルツネッガーの似ても似つかない双子の弟役だったダニー・デヴィート似で、気さくで陽気で謙虚な印象だ。ゴリさんのツッコミにも、しっかりボケてくださった。
昨年のディスカバリーシリーズで、先生が京都コンサートホールに入ろうとすると、警備員さんに「一般の方はここからは入れません、表からお入りください」と言われてしまった、というのが、最初のネタ振りで、「このときにはサングラスに野球帽だったのがマズかったかな? でも今年は怪しくない格好だったので大丈夫でした♪」と、にこやかに報告されていらした。
ピアニストの小川さんと手の大きさ比べをしたゴリさん、「やっぱりピアニストさん、指が長くて僕と同じくらい大きいですね!」と感嘆した後、広上先生とも手を合わせてみて「期待に違わない大きさですね! コアラと手の大きさ比べしたときのことを思い出しましたよ!」。広上先生、ゲラゲラ状態。
もちろん指揮ぶりも演奏も素敵。『木星』は広がる宇宙、回転する惑星、キラキラ輝く宇宙を、丁寧に引き出される。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」は最初、ちょっとお子様たちにはレベルが高過ぎるのでは・・・それどころか本調子ではなかった私自身がちょっと追いつけない感じだった。
けれど聞き覚えのあるロマンティックな旋律の部分が来て、「あ、これ、『舟を編む』がドラマ化されたら、この部分をラスト近くのBGMにしてほしい〜!」と、突如覚醒(笑) あの難しい部分は辞書作りのマニアックさにピッタリだと思えたし、はちゃはちゃした所は「血潮・血汐事件」(読んだ人しかわからないけど、ネタバレになるのでここまでしか書かない)にハマりそうかも・・・とか、勝手に脳内パズルしてしまいましたよ〜。
「ひょうきん族」を念頭においてセレクトされた「ウィリアム・テル序曲」は力の抜けきった(褒め言葉)指揮、「魔笛序曲」の軽やかで流れる優雅さは、まさにモーツァルトテイストそのものの指揮だった。
マーラーの「巨人」第4楽章は、まさに炸裂するタクト。フルオーケストラだけど、オケがやや指揮に押され気味くらい迫真の指揮だった。ラフマニノフのときには、ピアノの蓋に隠れて(!)手の動きしか見えなかった広上さんが、軽々と何度も飛び跳ねながら、存在感を増して行くようだった。指揮台の上で大きく見えるのだ。
おまけに京響ホールロビーでの告知で、なんと夜9時よりNHKEテレの『ららら♪クラシック』という番組に広上先生が登場されるという情報を得る。ということで、夜も先生のにこやかで気さくな、でもときに鋭くて(優しさに裏打ちされてはいるけど)シビアな表情を見ることができた。はからずも本日は、午後中「広上DAY」だ。ハッピィ♪
管や弦 直に打たれて耳歓喜