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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

川端誠原画展!

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 もと同僚の方に、お便りでお誘いいただいたので、能登川図書館の「川端誠原画展」&「川端誠講演会」に行って来た。そしてぶっとんだ。昨日の話だ。

 私にとって川端誠は「落語絵本の人」というイメージだった。今回の展覧会の絵本は初期作品である『鳥の島』『森の木』『ぴかぴかぶつん』。それぞれ哲学的ともいえる深いテーマを持った三部作だ。進化というものが幾多の命懸けのチャレンジ(と失敗)の上になりたっていくこと、自然を畏怖しつつも自然に感謝し調和する暮らし方、それを破壊する人間の傲慢さ、富や力を持った人間の欲深い愚かさなどなど。

 でもすごいのはテーマ以上に、手間ひまかけたひとつひとつの絵だ。いや、これを「絵」と呼ぶのか?

 新聞紙を何度も煮ては漉し潰しては煮るを繰り返し、手作りで紙粘土を作る。それだけでも充分な手間だ。

 それに着色し、糸状にしたり、ジグソーパズルのピースのように連続模様にしたり、ちいさく丸めたりとか。ちまちまと木や人や鳥をかたち作ったり。そのちまちましたものに、目を描いたり表情つけたり。

 そういう作業をサラリーマンしながら、週に2回徹夜して、平日も睡眠時間を削って、作業にあけくれて。

 やっと出来上がったワンシーンを戸外で乾かす為に置いておいたら、奥さんに踏まれてしまい「なんでこんなとこに置いとくの!」と逆に怒られたり。

 という、ものすごい苦労の末、出来上がった作品群。でも一時はすべて絶版に。現在はBL出版さんで購入可。私も講演後、思わず買ってしまいましたよ。

 あ、それから絵のテクニックについても。エッシャーの画法や先日私が見た「きりがみ」のような日本古来のデザインを詰め込んだアイディアが、絵の中や絵の枠にうまく使われている。蓄積されたインプットがあり、応用自在なアウトプットができる人なんだ。丁寧な手仕事とクールに計算が出来る人でもある。

 原画展だけでもぶっとんだけど、講演会もよかった。作者が自作を朗読してくださったり、子ども時代は本嫌いだったこと(でも図鑑少年。私ならこれは本好きと認定するのだけど)や絵本制作秘話なども語ってくださった。

 川端さんの言葉のはしばしから漏れるたぶん膨大で幅広い知識量や、鋭いアングルのクレバーさとかにも、心中「おお〜」と感嘆。

 だけど一番の感動は。

 この講演会や原画展、川端さん自身がお世話になった方々を、川端さん自身が紹介されたこと。

 聴衆のなかには、この原画展の企画者で、東京まで原画をとりに行ってくださったパワフルな「おはなしボランティア」の世話役の方、BL出版の社長さん、川端さんに貴重な出会いをたくさん作ってくださった元・図書館館長さん(九州から駆けつけてくださったそう。天声人語にも能登川図書館のエピソードが載ったこともある方だけど、すごくにこやかで気さくそうな方だった)がいらっしゃり、なんだかすごい場所に居合わせてしまった。

 この「ご縁の場」はそのまま、まさに川端誠さんの世界だった。いや〜すごいな、この感じ、どうもうまく言えないけど。「絆」って、こういうときに使う言葉なんだ。

 絵本を買った方にはサインします、ということだったけど、ひとりで留守番しているおばあちゃんが気になり、絵本を買いアンケート書いて、サインはパスし、いそいそと帰宅する。

 いや、帰る前に図書館にはいろんな催し物のチラシが置いてあって、もうこれが素晴らしい情報量! ちゃんとみられる置き方で。関東方面や遠方のでも興味深いものがあり、いくつかゲットした。やっぱりすごいわ、能登川図書館。

 原画展はあと11日から14日(日)までの4日間。もう二度と見られない(かもしれない)レアな展示なので、いそげいそげ。