以前の「紙魚子の小部屋 パート2」はこちらhttp://blog.ap.teacup.com/tanukitei/から、 その前の「紙魚子の小部屋」はこちらhttp://ivory.ap.teacup.com/tanukitei/から。

紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

織物世界に耽溺(作品群篇)

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 さて、お次は織機にかかった織り途中のと、別の大きな完成品が展示されたコーナーへと歩を進める。世界の織物巡りだ。

 画像がないので全然伝わらないとも思うけど、とりあえずは備忘録として記録する。

 つい昨日のことのようなのに、もう7年以上たつ「愛・地球博」でみたウズベキスタンアゼルバイジャンの民族衣装やタペストリーは、いまも脳内をうっとりさせる記憶だ。

 薄い青緑や枯れた黄色、ほんのりした赤などが、心地いいバランスで配置されていたし、植物などをモチーフにした優しい図案も日本人のDNAに馴染むものなのに、とてもエキゾチックだった。

 今回はウズベキスタンの繻子(しゅす)織りの絣(かすり)や平織りの縦絣を見ることができ、そんなことを思い出した。もう少し点数があればうれしかったのだけど、やはりシルクロード中心地の感性は、妖精的で素敵だった。

 更紗で有名なインドネシアの薄く繊細な布は、やはり今回も私の「ほしいほしい〜〜」という心の声を最大ボリュームにした逸品だった。シルクっぽかったので、バティックシルクというものか。

 コーナーを回ったところで、強烈な織りを発見した。ボリビアの赤地に黒のフリーデザインだ。

 普通は図案が繰り返されるパターンで布地が成り立つのだけど、この布は織り手の自由な感興に任せたかの用な天衣無縫さ!不思議な生き物たちと、影か棒のようなヒトガタが、びっしりと織り込まれているのだ。こんなヤツらである↓

 あんまり面白かったので、スケッチ(にしてはヘタクソ!)してきた。これはダイナミックな絵本作家である、スズキコージの絵のようだ。

 続くペルーの敷物(あるいはタペストリー)は、淡いパステルカラーながら、図案は大胆。まるで曼荼羅のように、四方の端にぐるりと小さなコマ絵がある。そして中心にも不思議な絵があり、なにか物語を表しているように思える。中心にいたのは、熊の耳とパンダの目をもつ巨大ツチノコ様のいきもの!! こんなヤツだ↓

 絵ではなく「織り」だけでこんなに自由自在にデザインできるなんて、驚異の世界だ。材質は羊毛と木綿。

 自由奔放なのはどうやら中南米の特徴のようで、そこだけ熱気が違うようだ。まるで別世界である。本館の常設展示だって、中南米ゾーンは異様にテンションが高まる場所である。まるで空気中にマジックマッシュルームが気化されているみたいだ。年中リオのカーニバルな空気なのだ。

 有名どころの織物もしっかり見て来た。高級カーテンや壁に貼るクロスのような、ゴージャス感あふれるジャガード織りはイタリアのフィレンツェのもの。インドのカシミール織りは、羽衣のようにふんわりだった。

 和物の民芸品も「織物」のカテゴリーに入っていた。香川県で作られた馬の尾の毛でつくられた篩(ふるい)や、アイヌのひとたちが作ったガマとシナノキの敷物とか、群馬県の植物素材でつくられた籠やカバンなど。いかにも頑丈そうで、ぬくもりの感じられる品々。忘れ物を見つけた気分だ。しみじみと懐かしい気持ちになるコーナーだった。