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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

くつろぎの家

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 河井寛次郎記念館は、もと普通の住居なので、まずは靴を脱いで受付。人当たりのいいおにーさん(そんなに若くはないけど年下だし)に資料とチケットをいただく。

 1Fは外国人の団体さんが英語で延々と説明を受けてらしたので、少しだけ見て2Fへ。2Fへは素敵な階段箪笥を使って上がるが、当然階段箪笥なので、手すりは無い。ところが見た目も安定感があり、実際上がるときも、ウキウキするほどスムーズだった。

 不思議なのだが、2、3段目くらいの場所に、木の球を数珠つなぎにしたものが、だらりと下がっていて、それに捕まって中程まで上がると、あとは手すり無しで大丈夫。片側は解放感に満ちあふれているのだが、「数珠つなぎ」があるだけで魔法のような安定感だ。「数珠つなぎ」は、下の球が一番大きくて徐々に小さくなっていた。ほどよく手に馴染む感じの大きさは、さすが寛次郎先生だ。

 素人目にはどこが善いのかを説明し難いのだが、とにかく、すばらしく「寛げる」、「落ち着ける」、「時間を忘れる」という住空間の重要項目をすべて満たしている。何もしていなくても、そこにいるだけで幸福な気持ちになれる場所。

 素敵な意匠に感心したり、豪華な壁紙にうっとりしたり、精緻な細工に唸ったり、という場所ではない。むしろ、その逆をいくお家だ。

 床板の貼り方が面白いなあ、と思って調べたら「朝鮮張り」というらしい。傷がつきにくく痛みにくいそうだ。いいなあ。

 そういえば、ウチの台所の床がダメになりそうなので(いや、すでに相当アブナい)、予算に見合えば考えてみたい。素敵でした、「朝鮮張り」。

 客用テーブルとして臼が使われてるんだけど、全然違和感なく、逆にむしろ快適。足がつっかえそうなのに、客としてお茶をいただく分には、全然問題なくいけます。

 椅子は前にも書いたように、お尻の形に2カ所浅い凹みがついているので、木製だけどとてもフィットしてほっとする。

 2Fから中庭を見下ろすと、砂利が敷いてあり小笹の植え込みがアクセントになって、なぜか石の球が鎮座している。雑草は抜かれているがタンポポだけは許されていて、うれしげに黄色い花を咲かせていた。作業場(登り窯!)付きの離れの前には、藤棚もあり、なんとなくうれしくなるような植物チョイスだ。

 登り窯近くのトイレの前にも、素敵な木製の椅子があり、ほのぼのしたホスピタリティを感じる。離れの玄関には、石の素朴な招き猫がいらっしゃり、頭にお賽銭(!?)を乗せてらした。

 記念館というより、ちょっと古い親戚の家に遊びに来たという懐かしい感じ。古民家なのに暗くない、というのも採光が工夫されているからだろう。吹抜けになっているから、よけい明るいのかも。きっと細かなところまで、寛次郎先生の目が行き届いているに違いない。見どころはきっと、「その場に身をおいた自分の気持ち良さ」。寛次郎さんと一緒に暮らしたこともあるお孫さん、鷺学芸員さんが、こんなことをおっしゃっている。

お越し下さる方々に時間的・空間的な何かが提供できていれば良い、と考えています。 これからも「見ていただく場所」というよりは、「過ごしていただく場所」であり続けたい、と願っています。

 (アート情報総合サイト アートで遊ぼう 京都MUSEUM紀行。第二回【河井寛次郎記念館】)より

 またぜひ、くつろぎにいってみたい。(あれ?河井寛次郎作品は、って? いや〜、なにげなくお部屋に置かれていた作品込みで、空間がよかったのですよ)