入場前から掴まれる。
チケット売り場は入口から離れた場所にあり、その少し離れた場所にはガチャポンがずらりと並んでいた。
野洲市にある昭和なスーパー「魚忠」にも、店の前にうらぶれたガチャポンがいくつか並んでいて、一度「琵琶湖の淡水魚たち」というのにトライした覚えがある。
近江八幡の本屋さんの入口にあるガチャポンで、「効果音ストラップ(ファンファーレ)」や「うまい棒ストラップ(パッケージと中身がセパレイトする優れもの。Kちゃんのお気に入り)」や「『もやしもん』のふんわり立体シール(もちろん「カモすぞ〜♪」の菌たち)」をゲットしたこともある。
ロフトのガチャポンだから、それはやはりクオリティーが高い。興味をそそられる内容ではある。クオリティーが高いのは結構だが、しかし、お値段も高い(300円)。私の個人的定義ではガチャポンの価格は200円までなので、チェックだけで満足し、ウインドウショッピングに徹する。
だけど、もし私が『ガラスの仮面』のファンだったら話は別だったろう。『ガラスの仮面』ガチャポンの品物は、ブックチャーム(しおり?)だ。ガチャポンの容れ物前面には、北島マヤのアップが描かれており、そのうしろで、月影千草がひそかにつぶやいていた。
「チャームになるなんて・・・恐ろしい子」
『ガラスの仮面』を読んだことがないのにも関わらず、ツボってしまった(笑) もちろんメジャーなマンガだから、おおよそのストーリやキャラは漠然と知っている。しかしファンだったら、掴まれること必須と思われる。というわけで、「いやげ物展」に入場する前から、すっかり「できあがって」しまった。
そんな「できあがった」私に、入口で早速、みうらじゅん師のジョブが。
受付には、アルミの怪しげな封筒が無造作に大量に並べられていた。メガネのお兄さんが、
「お越し下さったお客様全員に、『カスハガ』を一枚プレゼントしておりますので、お好きな物をお選びください!」
「お客様」に「カスハガ」のプレゼントかよ〜!! しかも中身はアルミに包まれており不明だ。不明どころかアヤしい匂いすら漂っている。やられた。銃弾は心臓に命中しました。
ちなみに「カスハガ」とは、みうらさんの造語で「観光地にある残念な観光絵葉書」、つまり「カスみたいな絵ハガキ」のことだ。
「もらってうれしくないお土産」=「いやげ物」というコンセプトにぴったりのプレゼントだ(笑) しかも結構な労力をかけて! 扱いにくい薄いアルミの封筒にハガキを入れるのって、手間ひまかかってしょうがないに決まってる。 しょーもないことに120%の労力を費やすなんて、いかにも彼らしい「おもてなし」である。
ウチに帰ってから中身を確認したら、予想を上回るカスハガだった(笑)「勝手に観光協会ユニット」である安斎肇&みうらじゅんのおふたりが隠し撮りのように普通な感じで、漠然と撮られた写真の絵葉書だ。たしかに、間違いなく申し分のないカスハガ!
まずはメインキャラクターである、ホンモノの仏像なみの大きさになった「つっこみ如来」さまがウェルカムしてくださる。となりのにこやかなロン毛の(たぶん)みうらマネキンが、にこやかな在りし日のみうら遺影をかかえている。ここが、スタート地点だ。