登廊をのぼりきると。
399段を登りきり、到着。
でも緩やかに整えられた石段なので、予想したほどの徒労感はない。お天気も幸いしたし、屋根付きだし、至れり尽くせりだ。
横手に舞台の付いた本堂と、十一面観音さまのいらっしゃる礼堂をみる。
石段をのぼりきった正面にいたのが、こやつらだ。
「昔はワルでしたが、今は真人間?になっておりやす。なんなりとお言い付けを」みたいな表情がけなげだ。頭上には長谷寺の寺紋が、封印のごとく金色に輝いている。
ここにも有名人の句碑が。芭蕉だ。
春の夜や 籠り人(ど)床し 堂のすみ
そよぐ樹々の間からは、なだらかな大和の山々が垣間見える。
最初の長谷観音は、近江国高島(現在の湖西・高島町あたり?)から来たクスノキの霊木でつくられたもの。長谷寺は滋賀県との関わりがあったのだ。
しかしこの「霊木」、触ると祟りがあると畏れられていて、伝説によれば、触った人が命を落としたそうだが、ある僧は、この木で仏像を造ろうと思い立ったらしい。彼は「祟るもの」が霊験あらたかな神木でもあることを知っていたのだ。
観音像は何度も焼失を繰り返し、現在の観音像は室町時代のもの。身の丈、三丈三尺=約10m余。日本最大の木造の仏様らしい。
看板の近くにもクスノキの大木があった。
登廊終点の楼てっぺんで睥睨される鬼瓦。
「神戸ヒヨコ登山会」の細長いホーロー看板が、礼堂の柱にあった。レトロなロゴと可愛いマークが素敵。
私がここで心ひかれたのは「ヒヨコ登山会」だけではない。黄朽葉色、あるいは山吹茶の衣を纏い、颯爽と本堂に入ってゆかれるお坊さまがいらっしゃった。風貌は、まるでEXILEのAKIRAのようで、あまりの屈託のなさに思わず挨拶すると、いとも爽やかに挨拶を返してくださった。長谷寺のお坊さまは、心根が豪快なのだろうか?
その後も、長谷寺で見かけたお坊さまには、少なからずカルチャーショックを受けた。浄土系のちょっとひ弱な感じのお坊様とは、趣を異にするなあ。視野を広げて「坊主男子」を考察する「お坊さんウォッチ」にも、これからは目を向けて行かなければと、新たな目標を見いだした。
いよいよ、観音様とご対面だ。