大覚寺に酔いしれる。
しかし心経宝塔を出てからが、大覚寺の魅力炸裂なのだった。まず、昨日アップした写真のように、境内の景色の素晴らしさったら! また秋の始まりの、太陽がゆっくりと下降していく時間の、光の斜め加減といったらもう!
石仏然り、
護摩堂然り、
池の端然り、
蓮池然り、
石垣や有栖川然り、どこを向いてもちょっとした感動体験だ。
いよいよ大覚寺の内部へ。迷路のような(私がたんなる方向音痴なだけ?)回廊を巡って、宸殿へ。一気にタイムスリップし、『源氏物語』の雅びの世界。なにしろ平安時代の天皇がお住まいだった場所ですからね。
回廊の手すり?の意匠も凝ったものだった。
これが古典を読むと出てくる「蔀(しとみ)戸」というものだろうか?
あまりの雅びさに声も出ない。ガイドさんの案内で、金の部分に蝉の装飾があることを知る。
それもあっちにもこっちにも!
なぜ蝉なのか? 諸説あるらしいが、蝉は樹液しか摂取しないので、清浄な生き物だという説、蝉は飛びながらおしっこをするので防火のお守りにという説、人の気配を察知すると鳴いて逃げるので防犯のお守りという説。
まさか蝉のおしっこ程度で鎮火するとも思えないが、昔の人の洒落っ気は素敵だ。個人的な好みをいえば、もう少し年代ものの金になると、蝉もいい味になると思う。
回廊を廻る。こちらの装飾は時の洗礼を受け、落ち着いた風合いだ。
ひろく白砂を敷き詰め、帚目を付けた庭。美しさもさることながら、つい日々のお手入れが大変そうだ、という主婦目線になってしまう。ご苦労様です。
冷泉家でもそうだったが、こちらも橘と対になっているのは、桜ではなく梅。やんごとなきお方は、古式にのっとった中国様式なのか。より古い伝統をチョイスしているのだ。
威風堂々の唐門(勅使門)。
お庭の風情がなんとも寛げる。キレイに手入れされているが、ほのぼの感も漂っている。やんごとないお方は「やりすぎない」ということをご存知なのか。
大沢池が一望できる舞台が! 私の舞台好き心が、思わず浮き立つ素晴らしさだ。風光明媚ななかでの解放感とくつろぎ感、ハンパない! 時間があれば、ここでゆっくりと過ごしたいのだけれど、それはまたの機会に。
ちょっと変わった紅葉があったので。葉っぱがあかちゃんの手の様に、切れ込みが短く、丸みを帯びていてかわいい。
せっかくの風情がぶちこわしだが、敢えて言う。この木の向こうにある建物はお手洗いだ。
その後、建具に描かれた絵などに感嘆し、私のお気に入りだったのは、正寝殿の腰障子に描かれた渡辺始興の「野兎図」。びっくりしたような目がユニークで、見た事の無いようなウサギに一目惚れ。
最後にかけ込みで寄ったショップでは、もちろん野兎図グッズを購入した。