皇室のお宝
以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。
「大阪のお宝」に引き続き「皇室のお宝」を拝見しに、平安神宮前のバス停を降りて目の前にある京都国立近代美術館へ。http://k-meihin.exhn.jp/「皇室の名品 ー近代日本美術の粋ー」を開催中なのだ。
最初の方には、明治初期の工芸品がどどんと展示されているのだが・・・。
なんというのか・・・ゴージャス×ゴージャス。
パンフの表紙はまだしも。裏面のこれみよがしな菊花模様がちょっと・・・。
肩のチカラが入りまくった「これでもかっ!!」な工芸品の数々に、正直引きまくる↓
http://k-meihin.exhn.jp/contents/index02.html
http://k-meihin.exhn.jp/contents/index03.html
工芸的には技術の粋を集めた極上品かもしれないが、個人的見解で申し訳ないけれど、今回の私的ワーストアイテム↓
もしかして、江戸幕府から権力をもぎ取った鼻息で舞い上がってる!?と、勘ぐりたくなるようなキラキラごてごてで、胸焼けしそう。これはもう、権威付けとしかいいようのない成金趣味では。もはや皇室のとりまきの人たちの趣味で、決して皇室のお方の趣味ではないと思いたい。というか、もはやこういうものに囲まれて暮らすのは、何事にも動じない強靭な精神でないとムリじゃないかと。お気の毒としか思えない。
とりあえず、ささっと流して行こう。第一章、第二章はそんな感じで足早にチラ見した。
ところが、第三章の「皇室と官展」、大正・昭和に官展に出品された美術品のお買い上げ作品からは一変、ぐっとグレードアップする。工芸品も「月日貝を上下にあしらった香合」とか「ザボン(本物の柑橘のザボンの乾燥皮!)と蒔絵をコラボさせた菓子器」とか、斬新で面白いものが出てくる→http://k-meihin.exhn.jp/contents/index04.html
金銀蒔絵螺鈿の絢爛豪華さより、貝殻や植物の方がほっとするよ。これって庶民感覚なのか。
絵画でも明治、大正期の大家のたくさんの方々の作品を見ることができた、充実の章(部屋)だった。土田麦僊の「罌粟(こくりこ)」、竹内栖鳳の「虎」、上村松園の「雪月花」など、名作揃い。堂本印象や富岡鉄斎、橋本関雪、河井寛次郎もあった。
↑第6章の部屋にあった、竹内栖鳳、野口小蘋、山元春挙、川合玉堂の手になる大作「悠紀・主基地方風俗歌屏風」は紺碧の雲が強くて、私にはちょっと辛かった。洛中洛外図では金色に流れる雲の色だが、これだけ豪勢な巨匠を集めて描かれたのに、なんだかもったいない。
前後するけど第5章の部屋は、オール横山大観。何度か大観はみたことがあるけど、この日初めて大観のよさを味わうことができた。彼の雲龍図は、おしゃれでスマートで、意外にもなおかつお茶目だった。ごつくない雲龍図って珍しい。
「皇室の名品」以外に、この美術館所蔵品の「コレクション・ギャラリー」というのも開催されていて、これもなかなか面白かった。特に大量の河井寛次郎の焼き物が、「民芸」が醸し出す素朴であたたかい空気を放って、和やかな気配に包まれる。知らなかった須田国太郎の洋画もよかった。
あと、写真も。有名ネームがずらり。キャパ、アンセル・アダムス、ブレッソン、ユージン・スミスなど。
イモジェン・カニンガムのユニークな発想や視点の写真、ユサフ・カーシュの有名人(ヘミングウェイやピカソ)のポートレイトたち、久々にマーガレット・パーク=ホワイトも一枚見られてうれしかった。
京都国立近代美術館は、常時ミュージアムショップが充実しているのでうれしい。展示室を出てからもお楽しみが待っている。竹下夢二グッズがずらりとあり、迷う迷う。結局ドクダミの花の付箋と、銀杏のクリアファイルに決定。
さあ、次は混雑覚悟の大人気企画展、道を渡った向かい側にある京都市立美術館の「竹内栖鳳展」だ。