竹内栖鳳展
この展覧会のキャッチコピーは、「その筆は、極限を超える」。まったくそのとおりだ。
シロウト目にも、鳥肌が立つほど巧いことがわかる。緊張感もエネルギッシュなパワーも、びんびん伝わってくる。動物の息づかいや匂いまでが感じられそうなほどだ。
よく「あまりに生きているような絵なので、夜な夜な絵から抜け出してしまう」という逸話があるが、そんな話もありえそうなくらいだ。
この「班猫」という絵なんか「日本画史上、一番有名な猫」と言われているらしい。ほとんど魔性のような美しさだ。
彼のテクニックにかかれば、こんな絵本のようにメルヘンな熊だって。
大津絵のモチーフだって、お茶の子さいさいだ。
詩情あふれる蛙も、
しんしんと冷え込んだ雪の中で、物思いにふける烏も、どんな絵だって描けそうだし、貪欲にいろんな画風にチャレンジされていた。だから見飽きない。それにキレイで巧いのだ。
めったにないような、どきどきするほど素晴らしい絵たち。ところが、私にはなんだか響かなかった。たぶん私が舞い上がってしまうようなある種のテイストがなかっただけなのだろう。クールすぎるというか。きれいに磨かれてつるつるすべって、とっかかりがないとでもいうか。どの絵もいいのに「これは!」というエキサイティングな気分にはなれなかった気がする。人が多すぎたからかもしれない。
帰り道で、大好きな手頃な老舗京菓子司「平安殿」本店に立ち寄り、「栗きんとん」と、定番の柚子風味白あんのおまんじゅう「平安殿」を買う。本店ではバラ売りもされているので、いろんなものをアラカルトで購入できるのも魅力。
それから某お寿司屋さんで「京都水族館のパスポートで割引致します」とあったのも、なんだか可笑しい。たしかに魚つながりではあるんだけど。そういえば、美術館でも「水族館のパスポートをお持ちですか?」って訊かれたっけ。水族館の新興勢力、おそるべし。