極楽の一歩手前
以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。
唐門をぬけ、もうひとつ門をくぐると、正面に五智光院。
広い境内の両側には大きな樹木が、みるからに手入れが行き届いた、美しい姿で佇んでいる。
手入れが行き届いているのに、いやみなく居心地がいい。青空とも、よく調和していた。
これは櫨(はぜ)の樹。乾燥した実を、たくさんぶらさげていた。櫨の実は和蠟燭の原料になるらしい。なるほど、実用的な樹木もあるのだ。
とても控えめに咲いている山茶花だが、そのへんにある山茶花とは、まるで品格が違う。
花の付き方も、枝のありようも、造られたかのようにやんごとない。
しかし、五智光院の扉は、びっしりと固く閉ざされていた。
以前は上がることもできたらしいが、現在は保存のため、閉ざされているのだ。
でも極楽浄土の庭への扉は、大きく開け放たれている。
二つ巴のりっぱな紋がついた、五智光院の屋根を振り返りつつ、
微妙に弧を描く渡り廊下の屋根で、反目するハトを横目で見つつ、
渡り廊下のしたをくぐり、
極楽にやってきました!
馬には乗っていないので、そのままずんずん歩く。
(つづく)