極楽を独り占め。
まずは案内を読み、極楽浄土の庭とは何なのかを、とっくりと理解しようとする。しかし全文読了後も、理解できたかは不明。一応仏教ミッションの学校へは7年も通ったから、『白河白道』って聞きおぼえはある。でも、内容までは深く詮索しなかったなあ。
中国の迷走、いや名僧・善導大師のたとえ話、『白河白道』を基に造園されたらしい。
地図を見ると最初にあるのが、「釈迦の滝」と「釈迦三尊の石」らしいが。
これですか。
滝のスプラッシュがすごくキレイだった。でも、私を狂喜させたものは。
梅! 梅が咲いてる!
川の中を橋のように、きれいに並んだ石達もさることながら、岸辺にある大きな石自体もすばらしい。舞台のように円形の石、美しい蛇腹のように、細かなヒダヒダのついた石、白く帯を巻いた石。どれも名石(かも)。
地面に落ちる木の影をみていると、のんびりした気分になる。おまけに、ほぼ貸し切り状態だ。極楽を独り占め。
「瑠璃光の池」の淵でぼんやりしていると、いそいそとやってくる鯉たち。
背びれを水面から出しながら、大急ぎで。
鯉だまりができてきたが、そろそろ肩すかしをくったことに気づいた模様。落胆の表情を浮かべる鯉たち。
「瑠璃光」と豪語するだけあり、水の透明度はいままで見たことも無いくらいキレイだった。
もちろん池の周りの樹々も、それらを映す水面も、滝も。恐ろしいくらい手入れされている。毎日がお正月準備の大晦日みたいなお庭だ。極楽浄土のメンテは大変だと思い知った。できれば極楽での掃除のバイトは遠慮したい。
(つづく)