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紙魚子の小部屋 パート2 plus はてな版 (2009年9月〜)

平凡な主婦の日常と非日常なおでかけ記録、テレビやラジオや読書の感想文、家族のスクープなどを書いています。

紙魚子(しみこ)のおでかけのあれこれ、ユニークな家族、節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物などを書いています。

「手から手へ展」

以前の記事「紙魚子の小部屋」は下のリンク集から読めます。

 「手から手へ」展に行って来た。副タイトルは、「絵本作家から子どもたちへ 3.11後のメッセージ」だ。もう少し詳しい内容は、京都国際万がミュージアムのHPから引用↓

 日本の絵本作家たちが「3.11後の世界から私たちの未来を考える」というテーマで国内外の仲間たちに呼びかけて作品を募った展覧会です。2012年3月、イタリアのボローニャを皮切りにヨーロッパ5ヶ国を巡回し、2013年新たな呼びかけに応えてさらに多くの絵本作家が参加。総勢7か国110人の描き下ろし原画作品を展示し、未来を生きる子どもたちへの想いを伝えます。 

 3.11後の「世界」から! 日本じゃなくて、「世界」。スケールが大きい。  

 とはいえ、これは描き手の人たちからすると、ものすごくハードルが高い出品ではなかったかと。ことに日本の作家さんたちが、悩みに悩んだ苦悩が伝わってくるようだった。原発の問題を見つめないわけにはいかないから。

 というのも、現実を直視すればするほど、知れば知るほど、過酷で絶望的状況に沈んでしまう。未来を生きる子どもたちに、こんな状況を作ってしまったという苦悩。けれど、現実を知らなければ、いま自分たちのいる位置はわからない。知る事なしにスタートはできない。状況を把握したところがスタート地点になり、そこから解決のとば口をみつけなければならないからだ。

 目を背けずに見る事は苦しい。地理的に離れていることで、まるで当事者でないかのように、一見普通に「暮らし」を続けているけれど、実はオールジャパンな影響があることは、薄々みんな知っているはず。いや、オール・オーバー・ザ・ワールドなことかも(知らないだけで。海も大気も国境を越えますから)

 そんななかで奮闘していたのは、長野ヒデ子さんの「せとうちたいこ」さんのコママンガだった。地に足をつけて、いつものマイペース主婦(鯛の)たいこさんがいて、ホッとする。当然海を汚された「怒り」もあるが、たいこさんらしい、一点の曇りも無い健康的な怒りだ。どんなときでも笑ったり、のほほんとしたり、日常を生きることを最優先にする大切さを、あらためて思い知らされる。

 同時に長野ヒデ子さんがタダモノでないこと、もしくは桁違いの「ふつうの主婦」であることに恐れ入った。『クレヨンしんちゃん』の映画で「日本の主婦を甘く見るなよ!」と母・ミサエがよく口にしていたが、長野さん級の主婦がいっぱいいることが、日本の希望だと思いたい。

 そしてこの展覧会の中で、ことさら心に残ったのは、降矢奈々さんとアーサー・ビナードさんの絵と詩だ。降矢さんはチェコスロバキア在住の絵本画家さんだし、アーサー・ビナードさんはアメリカ生まれのアメリカ育ち。

 絵と詩というジャンルは違えど、ふたりに共通するのは、しっかりと現実を受け止める器の大きさと、冷静だけど深い怒りと悲しみ。

 「しっかりと現実を受け止める」のを、無意識にせよ、意識するにせよ、たぶん多くのはためらっているのかも、ということに、いまさらながら気づかされた。当事者である人たちを傷つけるのではないか、とか、生活の糧を奪う事になるのではないか、とか。その結果、自分の立っている場所がどんなところなのかわからないまま、どこに向かっているのかもわからないまま、対策がなされないまま、時間が流れている。その無責任な放置ぶりへの怒りと、その先にある未来への悲しみが、ふたりの絵と詩に流れていた。

 もちろん長谷川義史さんや、スズキコージさん、飯野和好さん、片山健さん、いわむらかずおさん、いとうひろしさん、村上康成さん、きたやまようこさん、酒井駒子さん、ささめやゆきさん、武田美穂さん、どいかやさん、などのビッグネームな力作も。ミヒャエル・ゾーヴァさんが描く、美しい色彩の悲しい絵もあります。

 ミュージアムのエレベーターを「手から手へ展」がジャック!

 作家さんたちが無償で「手」を描かれた「ててんてぬぐい」を購入。

 かわいいし、色は渋いし、肌触りもやさしいです。色違いで紺色も。

 

 期間: 2014年3月1日(土)〜5月18日(日)

◇午前10時〜午後6時(最終入館は午後5時30分)

◇休館日:毎週水曜日 ※4/30を除く

会場 京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー1・2・3

この展示の料金は無料ですが、入館料(大人800円)は必要です。